マラニョンの旅Ⅸ 旅の終わり (2011/06/28)
 | テレジーナのメルカードは旅の最後を飾るのにぴったしの面白い場所であった |
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ヒバーの待つ舟に、海から無事たどり着いたときには、ほっとした。 大分、日が傾き始めている。ヒバーは舟を飛ばし、川を遡る。砂丘が川に流れ込んでいるような場所があった。 「ここが最後のポイントだが、行くか?」行かなかったら、きっと後悔するだろう。身体は疲れていたが、「うん、行きたい」と言うとヒバーは舟を止め、砂浜に着けてくれた。「先に行くと、大きな砂丘があるから、じゃー、ここで待っているからな」どんどん砂浜を進んでいくと、20mはあるような、巨大な砂丘が現れた。登ろうかどうしようか、迷ったが、この先にある、風景をどうしても見たかった。この砂丘を越えると、きっと砂丘が連なる素晴らしい風景がひろがるだろう、勝手に想像を膨らませ、誰も居ない急な傾斜の砂丘を登っていく。夢でみたのか、以前に経験したのか、同じようにどこかで砂山を登る自分を覚えている。あれはいつのことだったのだろう。 意外に砂が固まっていて登りやすいのが幸いし、思ったより簡単に頂上にたどり着くことができた。しかし、そこには更に高い砂丘が目前の風景を阻んでいた。もう少し、もうひと丘越えようと進んだが、同じくらいの高さの砂丘が続くばかりである。既に太陽はかなり傾いている。ここが限界だな。ちょっと惜しい気もしたが、ここまで来たことに自分でも納得した。 「良かったか?」舟につくなりヒバーがニコニコしながら尋ねて来た。「うん、面白かった。ありがとう」彼のおかげで、パラナイーバ川の川下りは随分面白いものになった。彼がこんなに協力してくれるとは、最初思いもよらなかっただけに、うれしい誤算である。 舟が船着場につくと、エドアルドが大またに歩いてきた。ちょっと怒っているようである。「随分遅かったじゃないか! ずっと待っていたんだぞ」ヒバーに大声でいうが、ヒバーは馬耳東風、ほとんど気にせず舟のロープを縛っている。こうやって見ていると、ヒバーとエドアルドは仲が悪いのかもしれない。そういえば、最初から二人の態度がおかしかった。 「ヒバー、オブリガード。いろいろ助かったよ」と言って握手をすると、ニッコリ笑って、握り返してきた。 やっとパラナーイーバのホテルについたときはさすがに身体はぐったり疲れていた。「明日、旅行社の奴がバスターミナルにつれていくから、8時までに用意していてくれ」とそっけなく言い残しエドアルドは握手をする暇もなく帰っていった。やっとここまでたどり着いた! 明日5時間バスにのり、テレージーナに着けば、空港から飛行機でサンパウロだ。そう思うと気が緩みそうになるが、ブラジルは何が起こるかわからない。気を緩めるのはサンパウロのアパートについて! そんなことを考えているうちに、深い睡魔に襲われた。
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