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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
10・14 セントロを歩く [画像を表示]

10・14 セントロを歩く (2006/10/15)  日本から帰って初めて、セントロを歩く。
 土曜日で一般の通行人が少ないせいだろうか、プラサ・ダ・セの雰囲気が非常に荒れていた。教会の入り口の階段にはぼろ布をまとった人々が、ハゲワシのように、空ろな目をして座っている。広場には死んだように眠る人々が倒れている。その姿はまさに死体である。そのすぐ横では、布教家が神の教えをわめき散らしている。まったく不思議な光景である。
 カメラを持った指がうずくが、今日の僕にはなかなか撮る勇気が起こらない。もし警官に見つかると尋問を受けることが確実だし、それらの目を潜り抜けて写真を撮るパワーが今日の僕にはなかった。そんな自分が、また嫌になる。感覚のまま写真を撮れる人間だったらどんなに楽かと思う。
 僕の頭には、「写真は暴力である」とあるカメラマンの言葉が常にある。それは僕にとって人の写真を撮るにあたっての戒めであり、時には写真を撮れないことの言い訳でもある。人並み以上に小心者の僕は、見ず知らずの人の写真を撮るのは怖いし、文句を言われたり、怒られたりして傷つきたくない。さらに僕自身写真を撮られるの嫌いである。だからできるだけ、人が嫌がらない写真、喜んでもらえる写真を撮ることを心がけている。でも、えてして僕が惹かれるシャッターチャンスはその逆のことの方が多い。そんなシーンに出くわすと、撮りたいと欲求と、撮らないほうがいい、というせめぎ合いである。そんなわけでセントロを歩くと、精神的に結構疲れてしまう。

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 天使の姿をした大道芸人。最近この手が増えた。サンパウロは
どんどん住みづらいところになっている。天使にお布施を渡した
くなる気分になるのもわかる。

 


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