1・9 セニョール (2007/01/10)
荷物をたくさんかかえた女性にエレベーターのドアを開けてあげると、「オブリガード、ゼニョール」といわれ少々ショックであった。 セニョールと呼ばれるのは、たいてい40代以上の男性に言われる言葉、だからである。もちろん、教養があり礼節をわきまえた人は、誰に対してもこのセニョールという言葉を良く使うし、お金持ちや、品がありきちんとしたみなりの人に対してよく使われる言葉である。ただ、この女性が初老の人だっただけに、ちょっとショックであった。 しかし、最近、よくセニョールと言う言葉を使われるようになった。もう、43歳なのだから当然といえば、当然なのだが、自分の頭の中ではまだ30代前半のつもりだから、少々悲しい。多分見た目は、もう完全なるおじさんなのだろう。もしかしたら僕自身に人間としての品がでてきており、みんなセニョールと言ってくれるのかもしれないが、まあそれはあんまりなさそうである。 「年をとるのがうれしくてね。今まで分からなかったことが、最近はいろんなことが見えてきたよ」と知人が言った言葉が深く印象に残っている。 僕もいつかこんな言葉を言えるときがくるのだろうか。
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