4・1 捕鯨反対 (2007/04/02)
「私達は日本を愛しています。しかし、捕鯨をする日本は嫌いです。鯨を殺さないで」 人であふれるリベルダーデの日曜市で、白いペンキで書かれた一畳ほどの黒い布の周りでおそろいの青いTシャツを着た青年達が日本の捕鯨反対運動で署名を集めていた。確か捕鯨はまだ解禁になってなかったはずであるし、捕鯨をしようとしているのはノルウエーやアイルランドなどの国もあるはずである。それを何故日本だけなのか? 何故、わざわざ、日本人が多い街として有名なリベルダーデでやるのか? 単なるインパクト的な部分を考えただけであろうが・・・。横で新聞のカメラマンらしい男がだるそうにシャッターを切っていた。約束の時間がせまっていたので、小走りで彼らの前を通り過ぎた。みんなまじめそうな学生風の男女ばかりである。50Mほど通り過ぎたところで、後ろで拍手が起きた。振り返ると、キャンペーンが無事終わったのが、その終了の儀として皆で輪になって拍手をしていた。大したこともしてないのに皆でがんばった的な、自己満足的なノリは大嫌いである。 待ち合わせの場所に行く道すがら、自分の祖国が非難されちょっと腹立たしい気分で、こういったキャンペーンについて考えていた。多分、この腹立たしさは、日本が非難されているから来ているのであろう。僕も立派に愛国心があるのだな、と思うとそんな自分がおかしくなった。 僕の知っている限りでは、捕鯨対象になっている鯨は随分と増えているはずだ。僕から言えば鯨より、自分の国、ブラジルの自然の危機の方がもっともっと深刻なはずだ。一度として、ブラジルでアマゾンの森林を守ろうとか、その手のキャンペーンを見たことがない。随分前に、アマゾンの森林伐採などには、マフィアが絡んでいて、それに反対するような人間は殺されるんだということを、ブラジルのグリーンピースの一員から聞いたことがある。どうせなら命をかけてやれ、といいたいが、多分、僕も彼らの立場だったら、日本の捕鯨あたりを適当に非難して、自分らは人がやらない立派なことをやっているんだと、自己満足するだけかもしれない。
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