5・15 アブラッサ(抱擁) (2007/05/15)
ブラジルでは身体と身体を触れ合って親しみを深める傾向がある。例えば、親しい間柄では、会うときと別れるときには必ずアブラッサをし、頬と頬を軽くタッチさせる。どうもこの触れ合いが僕は苦手だ。 長期の旅行に出るとき、母親が息子に「パパイにアブラッサしてもらいなさい」と息子の身体を軽く僕の方に押し出した。照れくさくて結局彼を抱かなかった。そのときの息子のちょっと寂しそうな顔が未だに忘れられない。そんなものこだわらずに、やればいいじゃないかと、人に言われるし、自分でもそう思う。しかし何故かできない。小さい頃のトラウマがあるのかなどと真剣に考えてしまう。が、よく母親に抱いてもらった覚えがあるし、父にも膝に乗せてもらった覚えがある。 別に子供に限っただけでなく、きれいな若い娘にもできない。これは非常に残念なことであるが、相手がアブラッサの体制に入るとサッと手を出して握手をするようになってしまった。 以前働いていた雑誌でゲイのことを取り上げ写真を出してしまった。日本語の雑誌でまずブラジル人は見ないだろうと思って出したのがまずかった。どこで見たのか、彼は許可なしに写真を載せたということで、裁判沙汰にすると息巻いて会社に電話をかけてきた。慌てて、あやまりに行ったところ、えらい剣幕で相手にもしてくれない。それでも、話ながら、肩や膝を軽く叩いていると、少しずつ、彼の興奮も収まってきた。このとき、身体の触れ合いは大切なのだなと実感したものである。結局は訴えられてしまったが・・・。 このときの体験から、軽く肩や膝を叩いたりするようになったが未だにアブラッサはできない。
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