窓から外を見ると、皆黒っぽいジャケットをはおり寒そうに身体をちぢこませて歩いている。こういう日にはベッドで布団に包まってぬくぬくと過ごしたいのだが、先日撮ったおばあちゃんの写真をカラオケダンスの会場にもっていかなければならない。楽しみにしているだろうから、もって行かないわけにはいかない。あ～、深いため息がでる。 　会場に着くと、ちょうど5月が誕生日のじっちゃん、ばっちゃんたちが舞台にあがり皆で祝っていた。慌ててカメラを取り出し写真を撮る。これが楽しみで来る人も多いらしい。家族のいる人はいいが、独り暮らしの老人は、こんなちょっとしたお祝いもうれしいのだろう。 　外の寒さにもめげず、会場の中は熱気でいっぱいである。サンバにルンバに、盆踊り・・・。スカートを翻しながら軽やかにステップを踏むおばあちゃん、ひっしと抱き合って踊っているカップル、独りで身体をよじりながら踊っているおじいちゃん、椅子に座ってずっと踊っている様子を見続けているおばあちゃん、今日もカラオケ・ダンスは熱い。 　そんな熱さにふれながら、いつもきていたおじいちゃんを最近見ない。思わず心配になる。どうしたかな～、おじいちゃん。 外の寒さもなんのその、２００人ちかくのじっちゃん、ばっちゃんが踊りまくる。

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