11・14 息子の反抗 (2007/10/14)
「エドワルドが、私の手を掴んで離さないのよ! もし私を叩いたりするようなら、少林寺拳法なんか習わせないわ!」 電話をとると、キンキンと神経質な声が受話器から押し寄せてきた。はじめは何を言っているのかよくわからなかった。どうやら、チョコレートをめぐって、親子で喧嘩をしたらしい。 「チョコレートをちょうだいっていったら、私にチョコレートを投げてきたの! それで怒って文句を言ったら、言い返してきて、私が叩こうとしたら、あの子、私の腕をつかんで、離そうとしないの」 彼女も大分おちついてきて、ぽつりぽつりとあらましを話しはじめた。 「ふーん・・・・」黙って聞いていると、彼女は一人でまくし立て、すっきりしたのか、じゃーね、と言って電話を切った。 そういえば、最近息子は、むすっとした表情をしていることが多い。学校で何か気に食わないことがあったのだろう、と思っていた。そろそろ反抗期なのかもしれない。 家に帰ると、彼女がしんみりとした表情で 「そういえば、まだ子供の頃同じようなことがあったの。一番下の弟がいるでしょ。彼と喧嘩になったとき、やっぱり私の手を掴んで離さないの。で、もう、誰も僕のことを叩かせない! っていうの。それから、彼とは喧嘩しても叩いたりしなくなったわ。エドワルドも別に私に暴力を振るったわけでもないし・・・・彼も大きくなったのね・・・・」 今まで息子のことを、何をするにも息子のことを第一に考え、自分以上に大切に育てきた彼女にとって、今日のできごとは大きなことだったようだ。息子の成長を喜ぶ反面、息子が自分の手から離れてしまったことを感じ、寂しげだった。
 | 子供はあっという間に親の手を離れていく。一緒に手を引いて歩いた頃が懐かしい。 |
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