4・24 正直者 (2008/04/26)
ブラジルでもマンガは流行っており、バンカ(通りにある雑誌、新聞を売っている小さなボックス)では日本の翻訳ものがたくさん置かれている。今では日本で売れ筋の、バカボンド、ナルト、ダンクなどが次々と発刊されている。 息子は本をほとんど読まないので、少しでも本を読む癖をつけてやろうと思いナルトが出ると毎回買ってやっている。本を読むということは、想像力の発達、考える力を養ううえで、非常に大切なことだと思うし、僕自身大人になって、本を読むことが好きでよかったと思う。 まだ、小学生に上がる前に、木から落ちてその治療のためにずっと外で遊べなかったことがある。そのときにグリム童話集や家にある子供用の本を片っ端から読んで,本の楽しみを覚えた。もっとも、僕の読む本は、難しい思想書や哲学書ではなく、ごくごく一般の大衆書であるが・・・・。 たまたまバンカを覗くと、谷口ジローが書いたシートン動物記の翻訳マンガがあった。僕は昔から谷口ジローが大好きで、きっと息子も好きになるだろう、ましてやシートン動物記である、好きにならないわけがないと思い、少々高かったが奮発して購入し、息子に渡した。 1週間後ナルトの12巻が出ていたので息子に買ってあげた。 「この前、やったシートン動物記はどうだった」面白かったという返事が当然返ってくるものと思い聞いてみた。 「・・・・」返事がない。 「読んでいないのか」 「ノン」 「全然見てもないのか」 「・・・・」 多分息子は谷口ジローの絵のタッチを見るなり面白くないと思ったのだろう。せっかく買ってやったのに・・・・、カーッと頭に血がのぼり、 「読まないんだったら、ナルトも何も買ってやらない」と怒鳴ってしまった。 息子は怒鳴られてションボリと帰っていった。 後で考えると、読んだ、と嘘をつくこともできるのに、嘘をつかなかったことは、誉めるに値すると思いいたった。あんなに強くいうんじゃなかったと後悔してしまった。日ごろから口が酸っぱくなるくらいに、ぼくがブラジル人の一番嫌いな点である、嘘をつくこと、言い訳をすることを、するなと彼には常に言っているせいだろう。 ナルトの13巻が出たらまた買ってあげよう、嘘をつかなかったことはえらい、と誉めてあげよう。
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