4・27 さよならサクラ (2008/04/28)
久しぶりにサンパウロの郊外のゆったりした雰囲気を味わっているときに携帯がなった。 「あなたの家の犬が鳴いてるって文句がきているわ・・・・・」 彼女のいらだったキンキン声が堤防が決壊して流れ込んでくる濁流のように、僕の耳に突然押し寄せてきた。 またか・・・・。おそらくサクラが弟犬を噛んだのだろう。近所の住人は僕が犬たちを虐待していると思っていて、署名運動をしようとしているらしい。勝手にヤレ! ますますバカなブラジル人が嫌いになっていく。もう、うんざりだ。いくら事情を説明しても聞こうとしない。 慌てて帰り、事情を聞き、とりあえず家の方にサクラを移そうと思っていた。 「犬を欲しいと言っていた人がいるから、電話してみるわ。いいでしょ!」 「いいよ」 早速彼女が電話すると、すぐにとりにきてくれることになった。最近物事が流れ始めると、ものすごい速さで進むのを感じる。家の父犬がなくので彼女が建物の玄関まで連れていった。すぐに僕もその後を追って行きサクラを見ると、バスタオルにくるまれてサクラが心配そうな顔をしていた。近づくと僕に抱かれたがり暴れる。抱いてやると静かになった。不憫で堪らない。事務所の犬たちがサクラを連れ出すときに鳴いていたので心配になり戻っている間に、サクラは連れていかれていた。 「よさそうな人だったわ。住んでいるのは家だし、他にもたくさん犬がいるようだし、きっとサクラもすぐなれるわ。渡すときサクラもぜんぜん鳴かなかったわ」 きっとサクラは観念していたのだ。あああサクラ。さようなら、サクラ。
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