5・11 酔いの失敗 (2008/05/12)
バール(軽食屋)から、男がふらふらと出てきて、ゲロを吐き始めた。胃の中には何もないのか、出てくるのは透明の液ばかりである。男はかなりよっぱらっていて、時折頭をさげてゲロをはき、ぬぐうこともせず口からポタポタしたたらせながらよろよろ歩いている。何故かその姿に郷愁を感じた。写真に撮りたかったがあまりに突然目の前に現れたきたことと、周辺の人間が危なそうな奴らだったので写真を撮るのを躊躇してしまった。 学生時代には酒で失敗の連続であった。埼玉に住む叔母の夫が有名なカメラマンで、初めてお邪魔したその家でつい意識を失うほどウイスキーを飲んでしまった。そのとき何を言ったかまったく覚えていないが、かなり失礼な暴言を吐いたらしい。翌朝、叔母に散々しかられた。お詫びに北海道から夕張メロンを送ったが着いたとの連絡もこなかった。そのときは、連絡ぐらいしくれてもいいのに、と思ったが、後で考えると、連絡もしたくないほどひどい暴言を吐いたのだろうな、と反省した。その叔母には20年ぶりに去年あったが、彼にはそれ以来あっていない。 ブラジルでも、危ない奴らの集まるバールでヘベレケに酔っ払ってしまったことがある。ちょっとかわいい感じの女性とすっかり意気投合したつもりでゴンゴン飲んだ。意識も朦朧とし、気がついたら彼女とキスをしていた。酔いとスケベ心で持っていたカメラに対する注意は失いかけていた。そこへ男がきて僕の腕からカメラバッグをひったくって逃げた。慌ててゲロをはきながらおいかけたが後の祭りであった。きっと女は男とグルでくんでいたのだろう。酔ってもなかなかカメラバッグを手放さないので最後の手段にでたのだろう。結局、知り合いを通じて、この強盗を探してもらい300ドルで買い戻した。この頃の300ドルといえば結構価値があったのでかなり痛い出費であった。 それ以来、ブラジルでヘベレケになるまで飲むことはほとんどなくなった。 今では友達にあったおりにちょっとビールを飲むくらいで、アルコール自体ほとんど飲まなくなってしまった。もともと体に合わなかったのだろう。
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