5・31 イタリア祭りⅡ (2008/06/02)
何回か人に道を尋ねて、やっと会場に行きついたときは、肌寒い夜になっていた。 「熱いビーニョケンチを飲みましょうネ! スパゲティも」Sさんがうれしそうにいう。会場は大きな体育観風の建物にあった。中に入ると、大きな天井にはイタリアの国旗にちなんで3色の布で飾られ祭りの雰囲気を盛り上げている。中心にテーブルがずらりと並べられ、周囲にポレンタ、スパゲティなどの食べ物を作る出店が並んでいる。 食券を買って食べ物と引き換えするようで早速券売り場にいく。Sさんはスパゲティの券を買うときにわざと「ヤキソパはあるのか」と聞いて売り子の若者とすっかり盛り上がっていた。この辺がウマイな、と思う。彼はアメリカに長い間いたせいか、感覚的にはもう日本人というよりは外国人である。僕は楽しみにしていたフランゴ(鶏)のから揚げと、せっかくだからピザを買う。売り子の若者は僕の発音では解りにくいらしく2回言っても解らない。3回目に声を張り上げていうとやっと理解してくれた。釣り銭を目の前で見せながらイチイチゆっくり数えていく。以前はサンパウロ市内でも買い物をするとこんな感じであったが、どんどんスピード化され、こんな流暢にお釣りをくれる店員はもうほとんどいない。紙幣を1枚1枚、コインをひとつひとつ目の前で数えてわたされると、親切をしてもらったようですっかり気分がよくなった。会場に入った当初はまだまばらだった人も少しずつ増えてきた。 小さな舞台では、イタリアの陽気な歌が歌われすっかりイタリア気分になってきた。有名なフニクラの歌(名前をしらない)が歌われ始めると、料理をしていたおばさん達まで、体をふってリズムをとりながら料理を作っている。まるでミュージカル映画を見ているようである。 ピザはインスタントの生地にチーズとソーセージをのせたもので、ハズレであったが、フランゴはボリュームといい味といい、十二分に納得のいくものであった。Sさんがアチチといいながら苦労して買ってきたビーニョケンチの甘いこと甘いこと。一口のんで思わず頭を振ってしまたほどである。こんな甘いものを彼は、スルリとのんでしまった。 そうしているうちに、Sさんのオークチ(アメリカの、ミクシーのようなコミュニティサイトでブラジルでは爆発的に流行した)の女友達が妹と一緒にやってきた。20前後の彼女たちは、ブラジル人にしては幼い感じのする女性で、初めて会うSさんとの出会いに、照れくさそうでありながらも嬉しそうに目を輝かしている。今日は両親と一緒に会場にきたらしい。お父さんはイタリア2世で少しはイタリア語もしゃべれるそうである。彼女は独学で英語、日本語を勉強していて、Sさんにはローマ字書きの日本語を送ってくるらしい。アニメやマンガのおかげでブラジルにも日本大好き人間が随分増えいる。やっぱり日本通が増えるのは嬉しい。 たいしたイベントもなく食べるだけの祭りではあったが、久しぶりに楽しい夜であった。
 | イタリア3世のSさんのメル友。お姉さん(右)は独学で日本語を勉強している |
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 | ピザを作るイタリアコロニアの人たち。おばさんたちは陽気に楽しんでいるが、おじさんたちは慣れない料理で悪戦苦闘? |
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