7・10 持ち込みⅠ (2008/07/15)
今回の日本行きの目的のひとつは何とか写真集を出版することであった。 運よく、カメラ雑誌社の編集長に3つの出版社を紹介してもらい、早速L社に連絡の電話を入れた。 「明日の11時に来てください」とのことだった。ただ電話を切る間際に、携帯の番号を聞いてきたので10時に一度連絡することになった。なんとなく、このことが気にかかった。 翌日電話をすると、案の定、まだ約束した人間は来ていない。後ほど連絡することになった。 もよりの駅について再び電話すると、「○○は今日は病気で欠勤しますが、よかったら替わりに私がお話を聞かせて頂きます」とまだ若い男の声が返ってきた。せっかくきたので、会ってくれるだけでもうれしかった。 赤レンガの建物の階段を上がっていくと、ドアがあいており、ショートカットの女性が客らしい男性と話していた。その声は昨日電話で聞いた声にそっくりだった。「あ~、約束した女性だ」と直感した。断られるのだな、とまだ会う前から感じた。 先ほど電話で応対した男性がやってきた。背中までの長い髪を結んだ角めがねをかけた痩せぎすの青年はむっすりした顔で応対し、別の階の応接間に案内してくれた。もう断られることを直感していただけに彼のむっすりとした顔が余計にうっとうしく見える。
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