7・12 持ち込みⅣ (2008/07/28)
2軒目で結構良い感触だったので、3軒目は余裕を持っていくことができた。 かなり身体が疲れている。列車の中でも軽い吐き気がした。血圧がぐっち上昇しているのかもしれない。建物の中では冷たく、外は暑い、この繰り返しと時差ぼけに身体がついていかないのだろう。昔はどんな暑さにも平気だったのに・・・・。 出版社の代表のNさんは小柄ないかにもまじめそうな感じの人だった。年齢は僕と同じくらいだろうか。 「もしかして、昨日○○出版に行かなかったですか? 実は僕も行っていたんですよ」 そういえば、ギャラリーで男性を見かけたような気がする。 「ええ、いました」 写真集を見せると 「エドワード・スタイケン(1960年代の有名な写真家)の写真みたいでいいですね。Nさんの好きそうな写真だけどな~」 僕にとっては最高に嬉しい言葉である。やはり見る人が見れば解るのだ、と独り勝手に思いながら、すっかり嬉しくなってしまった。 「内で作る場合は○○○万円くらいかかりますが・・・」 紹介してもらった編集長に、今の写真集業界はほとんどが自費出版だということを聞いていたから驚きはしなかった。掲示された金額は聞いていた額より低く、なんとかギリギリ出せそうな額である。 「来年の9月までは、出版する本の予定が入っていますので、もし作りたいという気持ちがあったら、ゆっくり考えて見てください」 「本当に、それでできるのですか?」 「ええ」 その返事を聞き、すっかりうれしくなってしまった。 帰りの列車の中で、ぶつぶつ独り言をいいながら考えた。ちょうど、父が僕にかけてくれたいた保険の満期で入るくらいのお金である。もし、このお金を出せば、どうなるか? 最近はレアルの高騰と日本からの仕事が急激に減り、毎月赤字が続いている。うーん、考える所である。しかし、本を出さなければ、今後僕のやりたいことは進まないと思う。多分、出すしかない、しかし、少し躊躇する気持ちもある。 飛ぶことを恐れていたら、いつまでも飛べずに終わるだろう。あひるで終わるか、白鳥になるか? やっぱり大空を渡る白鳥になりたい!
|