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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
9・24 強盗への注意

9・24 強盗への注意 (2008/09/26)  さて、今日はどのカメラを持って歩くか? 家を出る前に一瞬迷った。一度、買ったばかりのカメラを鞄に入れたのだが、寸前に考えが変わった。
 最近の精神的落ち込みからいって、きっと気の緩みがでている。この緩みが大事になりかねない。そう思い直したのだ。結局、古いカメラを持っていくことにした。
 お世話になっている印刷屋さんに行く前に、レプブリカ広場からセ広場あたりを、散策しようと思っていた。この辺はセントロ地区に入る。古い建物が残り、絵になりやすい。しかし、ひったくりや強盗が多いことで有名で、テレビのニュースなどでも、しょっちゅう、その現場が放映されている。
僕はいつも写真を撮りながら歩いているところなので大丈夫と思い、以前日本から来た知人3人を案内したことがある。 一人が僕と一緒に、2人はその後ろを歩いていた。劇場の前を差し掛かった所で、後ろの二人が大声を上げた。こそどろが、一人を後ろから羽交い絞めにしポケットに手をつっこんできたのだ。その事件があってから彼はすっかり、町歩きをびびってしまい、もう、サンパウロの観光をしたくない風であった。悪い事をしてしまったと今でも思っている。セ広場からレプブリカまで歩く間に3回襲われたなんていう人もいるから、日本の日本人はやはり目だってしまうようである。やはりいくら慣れているところでも侮れない、とつくづく思った。
 今日も何かいい被写体はないものかと、目立たないように四方に注意しながら歩く。最初のカメラを出すときが、なかなか難しい。調子がいいときにはすんなりと出せるのだが、悪いと出ない。日本ではカメラを出しっぱなしに歩いても大丈夫だろうが、サンパウロではそうはいかない。日本からの旅行者がまったく気にする様子もなくライカや一眼レフを首にぶら下げたままあるいているが、泥棒にとっては、まさにネギをしょったカモである。慎重な僕を見て、あるバカな日本の女性が、こんなん平気じゃんといってバチバチ写真を撮っていたが、怖いもの知らずの無知なだけで、決して威張るものでも、えらくもない。ただ、時にはこういう行動も必要であるとは思うが・・・。
 選挙がちかいせいか、劇場前の人通りが多いところで大きな旗を振って選挙運動をしている様子を何枚か撮るがどうもいまいちであるそんなことを思いながら交差点で信号が変わるのを待っていた。信号待ちは、結構危ないポイントである。左右、後ろをさりげなく見る。だいたい最近の強盗は3、4人のグループになって、狙った相手の気を、突き倒したり、声をかけたりして、たくみに散らし、ひったくる場合が多い。とりあえずは危なそうな奴はいそうにない。緑に変わったところでゆったりと交差点を渡る。わざとスピードを落としているのでかなり遅い。それにもかかわらず3mほど離れたところにいた男が僕のスピードにあわせているのが解った。
 そのときは距離も離れていることもあり、偶然かな、と思った。いったん僕の視界から消えので安心していた。僕は、その後も被写体を探しながらゆっくり歩いていたのだが、再びこの男が僕の目に入った。そのときには2mほどにいた。睨み付けると、そいつもじっとこちらを見返してくる。短髪のごつい丸い顔、黒人の血が混じっているのか隠れあがった唇、鋭い目、落ち着き具合からいっても、かなり手馴れた強盗のような雰囲気をもっている。これは、ダメだと、思い、反対方向に逃げた。危ないモノには近寄らないのが一番である。もしかしたら、まったく偶然で普通の人かもしれないが、自分の勘に素直に従った。
 このことを印刷屋さんで話すと、「ほんの2,3日前に、パライゾの方でカメラマンが襲われていたわ。用心のために2人もつれていたみたいだけど盗まれたみたいよ。だから気をつけないとね!」
 サンパウロは、写真を撮るのも難しい町になってしまった。
 


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