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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2020/04/05)
10・12 怒気

10・12 怒気 (2008/10/12)  朝、起きたときから、心の奥底に「怒気」が潜んでいた。ふとしたおりに、犬たちにもキンキンとした怒気が噴出しそうになった。その存在のせいかイライラしていた。こういう日には人に会わない方がいい、できれば外に出ずに家でひっそりとしている方がいいのだが、いらいらする自分の気持ちをどうにも押さえつけることができずに外にでてしまった。
 雨が降ったり止んだりのおかしな天気である。そんな天気が僕を刺激しているのか? ちょっとしたことで、ひどい言葉を投げつけそうである。人に関わりを持たないように気をつけながらセントロ地区を歩く、選挙のビラを渡そうとしてきたが無視、黒人男にアンケートを求められたが、これも無視。そして、突然、24,25歳ほどの青年に「セニョール」と道を塞がれた。多分お金をくれ、と言ってきたのだろう。一瞬立ち止まった。青年は表情も替えず、一言も発しない僕にあきれた顔をして、それ以上何も言ってこなかった。こんなとき僕はどんな顔をしているのだろう。
 野菜と卵が無くなっていることを思い出しリベルダーデに足を向けた。。日本食店はもう6時を過ぎようとしているのに、相変わらず買い物客で一杯である。ただでさえ狭い通路で、調味料売り場の部分で家族が固まって、どれを買おうかと悩んでいる。中国人の中年おばさん二人が、ああだこうだと早口で言葉を発しながら品物を見ている。理解し得ない言葉は時に、耳障りな雑音でしかない。この2つのグループで通路は塞がれていた。数秒様子をみるがまったくよける風はない。
「コン・リセンサ(失礼)」といって反応を待つが一向に開ける様子はない。
「コン・リセンサ」先ほどよりちょっと大きめの声でいう。それでも通路を開ける様子はない。頭の中で何かが弾けた。こころの奥底に隠れていた怒気が膨れ上がった。わずかに空いていた空間をこじ開けるように進んだ。中国人のおばさんに強く身体が当たった。それでも無視して前進し通り抜けた。
「アイヤヤーイ!」失礼なこの男は何!といった感じでおばさんが声を上げた。たぶん僕をにらみつけているだろう。強い視線を後ろに感たが振り向きもしなかった。
 その帰り道、自分では大きな声で言っていたつもりであるが、もしかしたら彼らは僕の言葉が聞こえなかったかもしれない。しかし2回も言ったのだが・・・。もし、中国人でなく日本人でも同じようなことをしただろうか。そんなことを考えながら、雨がポツリポツリと降り始めた薄暗い夕の夜道を気だるい気持ちで歩いた。気がつくとあれだけ膨れ上がっていた怒気は消えさってていた。


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