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     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
10・17 映画研究会とSの思い出

10・17 映画研究会とSの思い出 (2008/10/17) 大学時代の映画研究会の先輩から、Sが亡くなったとのメールがきた。Sは都会的なセンスをした明るい性格で皆から好かれていた。そんなに深い付き合いはなかったが、僕もソフトな人の良い彼が好きだった。いつか、札幌に行ったら、是非会いたいと思っていた友人の一人であった。それだけに、今回の知らせは大きなショックだった。
 僕が属した映画研究会は、かなりまじめに映画作りや上映会を行う、結構ハードなクラブであった。新入生の歓迎会では、テーブルの前にどんと一升瓶の酒が置かれ、酔い潰れるまで飲まされた。この時、Sは酔い潰され、ゲロを噴水のように吹き上げたそうだ。先輩たちは、毎年同じようなことをやっているせいか、飲まし方や酔いつぶれた人間の介抱の仕方をよく心得ており急性アルコール中毒になるような奴はいなかった。この頃は僕も良く飲んだ。1升は飲めたような気がする。
 大学で何が一番楽しかったかというと、この映研の活動ほど楽しいものはなかった。暗い高校時代を送った僕にとって、この頃こそが青春であったと思う。僕はちょっと退廃的な雰囲気があったせいか、自主制作映画の主人公や出演者によく使われた。しかし、あまりにヘタな演技にみんなあきれ果て、およびはまったくかからなくなってしまった。何故か、あの頃撮影された映像は一度も見た覚えがない。恥ずかしくて、見に行けなかったのだろう。
 その当時の仲間は半数近くが結婚していない、という話を数年前に聞いた。Sも結婚しておらず、びっくりした覚えがある。というのは、Sは誰に対しても優しくソフトで結構女性にも人気があったので、一番最初に結婚して暖かな家庭を作ると思っていたからである。押しの弱さと妙な頑固さと少しばかりドジなところが災いしたのかもしれない。結婚なんてできないだろうと、自分も含めて多くの人が思っていたぼくのような人間に子供までいるのだから人生は解らないものである。
 最期にSに会えなかったのはつくづく残念である。彼のさわやかな笑顔を思い出しながら今日は喪に服したい。

 
 
 


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