移民百年祭 Site map 移民史 翻訳
南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2020/08/06)
10・28 壁 [画像を表示]

10・28 壁 (2008/10/28)  リベルダーデに急いでいると、向こうから、どこかで見たような子供が携帯で話しながらちんたらと歩いてくる。
 一瞬誰か解らなかった。
 エドアルドであった。彼は、電話に一生懸命になっているようで、すぐ近くに来るまで僕のことに気がつかなかった。やっと気がつくと、さっと彼の表情がこわばった。慌てて、携帯を切りポケットつっこんだ。。
「どうして、独りで帰ってきているんだ? 送迎バスはどうした?」
「ママイが、今日はバスがないから歩いて帰ってこいって」
 どうやら途中までは友人と帰ってきたようだ。普段はバスを使わずに帰ってくることは許していなかった。危ないし、登校拒否の原因になったり、ろくなことにならないからだ。 
 こんな腑の抜けたような彼の顔を見たのは、初めてであった。女の子とでも話していたのだろうか? 僕といるときは、いつも締まった顔をしている。考えて見れば、彼が本当に嬉しそうな顔をしているのを見たことがないような気がする。彼のいろんな表情を見てきたつもりであったが、実はほとんど見てなかったのだ。彼は僕といるときは緊張しているのかもしれない。そんなに厳しくしたつもりはなかったが、少し過ぎたのかもしれない。
 小さい頃から一般の父親のように自分も子供のようになって一緒に遊んだことがないような気がする。もちろん折り紙や絵の書き方などは教えたりはしたが。僕自身、小さい頃には、父に相撲をとってもらったり、一緒に遊んでもらったりした記憶がある。遊んでくれとダダをこねたこともあった。息子はそんなことをしたことがあっただろうか? 思わず考え込んでしまった。
 一度、友人のOさんが、息子さんと一緒にエドアルドとも遊んでくれたことがあった。エドアルドはうれしそうにOさんにまとわりついた。子供と接触できるOさんが凄いなと思ったしうらやましかった。僕にはそんな風に子供に接触できない。自分の中に妙な壁を作っている自分を強く感じた。この壁が今まで随分と僕にいろんなことを止まらせてきたように思う。
 子供に対しても、女性に対しても、どこかで壁を作ってしまう。そういう自分に時に気づきイヤになる。少しずつこの壁を壊しているような気はするが、完全に壊せるのはいつのことだろうか。

20081028.jpg


前のページへ / 上へ / 次のページへ

楮佐古晶章 :  
E-mail: Click here
© Copyright 2020 楮佐古晶章. All rights reserved.