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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
11・9 自由人

11・9 自由人 (2008/11/10)  フェイラ(青空市)の帰り道、前方で独りの男が物乞いをしていた。「また、お金をクレというのか、イヤだな」その様子を見て思った。僕の住むセントロ付近は、路上生活者が多く、お金をねだる人が多い。中には脅迫的に迫ってきて、「くれないと子供をさらうぞ」とまで言う奴や、老人や女性にトウセンボをして、しつこくねだってくる暴力的な奴もいる。そんな奴には絶対やらないし、完全に無視して通り過ぎるようにしている。
 日本人の僕は、どうも人に恵むということは苦手で、よっぽど気が向いたときでないとお金をあげない。どうも自分がその人の上にたったようでイヤなのだ。それでも、最近はそんなことを考えないようにして、わずかなお金ではあるが一時でもその人が嬉しい気分になってくれるなら、と思うようにして、気分が良いときや、タイミングがあえばできるだけお金をわたすようにしている。
 先の、その男のところに着たとき、一瞬身体が強張った。両手は果物や野菜を入れた袋で塞がっている。髭が伸び放題になったその男の顔はげっそりしていて、弱弱しい声で「その果物をひとつくれませんか」といってきた。てっきりお金を、というと思って身構えていただけに、瞬時に果物をあげるという行動がとれず、そのまま知らんふりをして通り過ぎてしまった。10mほど行った所で、引き返してマンゴーを1個あげようかと思ったが、持っている両手一杯の荷物のことを考えると面倒臭くなってやめてしまった。どうも後味が悪い出来事になってしまった。思念や思惑、妙な凝り固まった考えを意識することなしに、さっとお金やモノを困っている人にあげれるような自由な人間になりたいものである。


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