3・26 弓場初日Ⅱ (2009/04/01)
昼から農場を案内してもらった。 まず、勝重さんの家。10畳ほどの小さな小さな家の横に、自分でアトリエを作ったなんとも雰囲気のある家だ。アトリエは自分で廃材を集めてきて、ほとんど釘を使わず自分で大工道具を使ってはめ込み式で作ったとのこと。 「初めてだったんで、右側が3センチほど高いのよ」と言って笑う。部屋は、彼女の作品と思い出の写真で溢れていた。家の中にいると彼女はまるでカメレオンのように溶け込んでしまう。彼女と家はもう融合してしまっているのだ。そんな様子を見て、来て良かった、と思った。20年前の誕生日に植えたというポンカンの木や、プリマヴェーラの花、自分で作ったアトリエ、そのひとつひとつに彼女の思いがこもっていているのだ。アトリエに置かれている、お母さんを描いた絵は、サンパウロでも一度見せてもらったが、雰囲気が全然異なり、しっとりと落ち着き、いつも彼女を暖かく見ているようである。いつまでも少女のような初々しい感覚を持ち続けている彼女の源を見たような気がした。 その後、ぐるりと農場を案内してくれた。農場自慢の劇場はなんともいえぬ趣きがあった。最近直したばかりのピアノを軽く彼女が弾いてくれた。ピアノのことも音楽のことも全然解らないが、今まで僕が聞いた中では1、2を争うほどいい音色だった。ピアノに命があるような奇妙な感覚を覚えた。彼女が書いた、「靴下を履いたピアノ」という絵本を読んだせいだろうか?? この劇場も普段は、農作物の乾燥場として使われており、舞台でとうもろこしを乾燥していた。生活と芸術の場が密着しているのだ。勝重さんの作品にも言えるが、弓場農場では、芸術は、生活からそして大地から生まれるてくるのだ。
 | 農場を案内してくれる。以前ここでヘビに出くわしたことがあるそうで、ヘビが大嫌いな彼女はかなり注意を払いながら歩いていた。毒蛇もいるそうなので確かに怖い |
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