5・27 裏町人生 (2009/05/28)
朝から雨。 犬たちが散歩に連れていってくれとせがむが、さすがに傘をさしてまでは行く気がしない。今日はこのまま雨が降り続くのか、と思っていたら9時ぐらいからやんで肌寒くもない過ごしやすい気温となった。 夕方、スリップ劇場の日系のおっちゃんが気にかかり訪ねた。残念ながらまだきていない。最近は夜から入っているらしい。7時まで待って、来なければ帰ろうと決め、けっきょく5時~7時までい続けることになった。 踊り子たちの顔ぶれは一ヶ月もすれば変わるのだが、客は顔なじみが多い。舞台掃除の手伝いをする陽気な黒人男性、いつもかぶりつきに陣取っている恥ずかしがりやの白人系のデブのおっさん、時おりみかける日系のおじいちゃん。スーツ姿で現れる白人系のまじめそうなおじいちゃん。彼ら同士の間では、結構仲良く話し合っているのを時おり見掛ける。僕なんかも馴染み客のひとりに見られているのであろうか? これでいなかったら、帰ろうと思って便所にいくと、おっちゃんがいた! 「どうかね、ブラジルは暮らしやすいかね」 前回きたときと全く同じことを聞いてきた。僕も前回とおなじ答えをする。今日はおじちゃんの好きだった歌の名前がどうしても思い出せず、それを聞きたくてここまで来たのだった。 「あの、おっちゃんが好きだった歌、なんだっけ?」 「もう、忘れたな~」そ、そんなー、せっかく来たのに! なんとか思い出させようといろいろ助言をする。 「なんだっけな? ああ、裏町人生。上田敏をしっとるかね」 「そう、裏町人生!」 かつて取材した頃のことを僕も少しずつ思い出し始めた。僕がションベンをしている隣で、おっちゃんがこの歌を大声歌い始めて、びっくりした覚えがある。名前を聞いて、おっちゃんにピッタリの歌だと思った。あの頃も仕事がほとんどなくどうしようかと途方にくれていた。それでもなんとか今までやってこれた。そう、考えると人間なんとかかんとかやって行けるのだ、と改めて思う。 当時、この歌の題名を聞いて、おっちゃんのルポの題名「裏町人生」はすぐ決まった。今日もう一度、おっちゃんの口からこの題名を聞いてやっぱりこの題名はいいな、と思った。もう一度書き直して見よう。
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