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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
11・10 停電

11・10 停電 (2009/11/11)  夕食に家で作った手打ちうどんを腹いっぱい食べて、ビデオを見ているうちに8時ごろから知らないうちに眠ったようだ。目が覚めると、なんとなく薄暗い。はじめは起きたばかりで頭が朦朧として気がつかなかったが、明らかに薄暗い。電灯の輝きが少ないのだ。窓の外を見ると街灯も消え、通る車のライトのしか見えない。何が起きたのだろう。妙に静かで、ちょうど映像で見る世紀末のような感じがする。もしかしたら、テレビのニュースで何かわかるかもしれない。スイッチを入れるが、つかない。そうするうちに電灯が消えてしまった。あわてて、別のアパートにいる息子に電話をかけるがつながらない。おそらく電話会社も止まってしまっているのだろう。
 これは・・・。一瞬、映画でみた宇宙人の襲撃が頭をよぎる。あるいは、僕がタイムスリップしたのだろうか? 窓の外をもう一度みるが、人々はアパートで息をひそめているのか、不気味な静かに包まれている。ますます、SF映画で見たシーンが現実味を帯びてきた。とりあえず22階の事務所から息子のいる17階のアパートに行ってみることにした。しかし、ろうそくも懐中電灯もない。途中で階がわからなくなれば、行くことも戻ることもできなくなってしまう。一度、行きかけたが途中で怖くなって引き返した。はっと携帯のことを思い出し、もう一度挑戦する。携帯の明るさは暗闇の中では結構明るく、十分階段を降りることのできる明るさだった。
 息子たちは既に寝ていたようだ。聞くと、10時頃から停電になってしまったらしい。停電だということを知り安堵した。犬たちのことが心配だったので再び22階に戻る。犬たちもいつもと異なる雰囲気を感じているのか、クウクウ鳴いている。とにかく暗闇の中では何もできないので寝ることにする。そうしているうちに電気がついた。その瞬間、周囲のアパートからワーッという歓声があがる。時計を見ると11時30分。
 さっそくテレビをつけると、停電の緊急ニュースが流れていた。ブラジルの約半分にあたる10州で停電になったようである。原因はよくわかってないらしいがブラジルとパラグアイの国境にあるイタイプーダムのシステムに問題があったようだ。
 この停電でメトロ、電車、病院、高層アパートのエレヴェーターなどがすべて止まり大混乱になっている。暗闇を利用して強盗が発生し、多くの人が仕事場や大学から家に帰り着くことができず、路上で一夜を過ごしているらしい。
「10年前にも同じような停電があったが、その教訓が生かされておらず、システムに改良がなされていないから同じことが起きたのだ」と、どこかの大学の教授がテレビで語っていた。そういえば、10年前もそういうことがあった。しかし、今回は寝ていて起きると、停電だった、という状態だったので、少なからずの恐怖を覚えた。それにしても都会での電気の重要さを改めて思い知った。


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