11・30 魚屋のおじさん (2009/12/01)
メルカードムニンシパルに魚の買出しにいくと、いつもの日系人のおじさんがいない。聞くと、辞めてしまったという。 板前さんのような我儘なおじさんで、機嫌が悪い時には、むっとした顔をしてあいさつをしても無視をするような人柄であった。一方機嫌の良い時には、魚の料理の仕方などをいろいろ教えてくれたり、頼みもしないのに、料理しやすいように魚をおろしてくれたり非常に親切であった。そんなおじさんが僕は結構好きだったし、彼の腕は信頼していた。 今日はいかにも新鮮なフグが入っていたが、おじさんがいないので、購入するのをやめてしまった。やっぱり、たとえ慣れているとはいえブラジル人にさばいてもらうのは怖かった。 おじさんがいた場所には背の高いモレーノ(白人と黒人の混血)がいて魚をさばいていた。おじさんがいつもいるところにいないとなんとなく何かが欠けているようでさびしかった。今更ながらにおじさんの存在感の大きさに気づかされる。 どうして辞めたのかと聞いても原因はよくわからず「ストレスが溜まっていて、気まぐれにやめたんじゃない?」とのことだった。その辞め方がいかにもおじさんらしく、思わず感心してしまった。偏屈な融通の利かない人ではあったが、彼がいたから、この魚屋で買っていたような気がする。ぷらっと、また帰ってきてもらいたい。
 | マグロの肉塊。 ブラジル人は赤身の魚が好きで、サーモン、マグロは鮨屋には欠かせない |
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