4・28 ディスクーペ (2010/04/29)
メトロの駅に行こうと市役所の横の坂道を歩いていると、ちょうど僕の前を小さな女の子と母親が歩いていた。向かいからは大柄な50歳ほどの男性が歩いてきていた。女の子がよそ見をしながら斜めにそれて歩いていたために、その男性にかなり強くあたった。 当たった瞬間、お母さんは、子供に向かって「何してんの!」と小言を言っていたが、男性に対して一言も「すみません」という言葉は発せられなかった。 その様子を見ていて、心の中で「何故母親が謝らない!」とずっと思っていた。親が謝るということを教えないから、大人になって自分が悪くても謝らないのだ。そう思いながらこの親子を追い抜いた。 車と車が衝突したときなどは、絶対謝ってはいけない、ということをよくきく。ブラジル人は自分がぶつけていても、決して謝らないそうだし、ひどい人間になると逆に非はおまえにある、と責任をなすりつけてくるらしい。ブラジルに住んでいると、自分はさほど悪くないのに日本でのように、つい謝ったりするとつけこまれる場合もあるから、何でも謝るのは、ちょっと問題であるが、身体があたったり、ぶつっかたりした場合には、やっぱり謝ってほしいし、謝るように常に気を使っている。 とはいうものの、最近は謝るブラジル人が増えてきたと思う。メトロの駅やバスの中でちょっとぶつかったりすると、「ごめんなさい」と謝りの言葉を聞くことが以前に比べると随分増えてきたような感じがする。それだけ、サンパウロに住む人の内的レベルがあがってきたということだろう。
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