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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
5・7 エレベーターの中 [全画像を表示]

5・7 エレベーターの中 (2010/05/08) 閉まりかけの、アパートのエレベーターに飛び込むと夫婦らしい30歳ほどの男女が先にいた。
 この夫婦は二人だけの空間をエレベーターの中に既に作り上げていて、まるで僕がいないかのように視線を絡めあっている。「Eu te amo(愛しているよ)」夫の方が妻を見ながらいう。「Eu também(私もよ)」
 けっ、もうすぐに家につくのだから、そんな事は帰ってからふたっりきりになって言え! と思いながら、デジタルの赤い数字をただただ見ていた。 エレベーターの密室というのは好きではない。まず目のやり場に困るし、ほとんど何も知らない人間と半径1m以内に一緒にいるのは苦痛でしかない。お互い話すことも何もないから、だまりっこくって、せいぜい変わる数字を眺めているしかない。そんな中でいちゃつくなんて! 
 最近はたいていのエレベーターの中にはビデオカメラがついているから、入口にいる門番はちくいち中の様子を見ることができるようになっている。
「エレベーターの中はいろんなことをしているんだろうね。特に夜中なんか」と門番に聞いてみたことがある。「そうだね。おしっこしたり、愛しあったり・・それはすごいよ」とニヤニヤ笑いながら話してくれた。
 うちのアパートはセントロにあり、昔から新聞記者や芸術家、ゲイ、娼婦などちょっと変わった人が住んでいるらしい。恥じも外聞ももなく恥ずかしい行為をエレベーターの中でする人間も当然いるだろう。さいわい僕の住む部分には家族しかおらず、騒音に悩まされることもほとんどない。別のアパートに住んでいる時には、隣に若いゲイ夫婦が住んでいた。週末になると友人を呼んでバカ騒ぎをするわ、一緒にすむゲイ同士が大ゲンカをするわ、それはそれはうるさかった。もう2度とゲイの隣にはすまないと思ったものである。
 ブラジル人のアベックはどこでもかんでも、チュッチュいちゃつくが、せめてエレベーターの中ではやめてもらいたい。

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ビルの合間から差し込んでくる朝の光は美しい。街灯がぼんやり輝き始める夕方と朝のセントロが好きだ


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