7・2 お祭りの終わり・・・ブラジルーオランダ戦、メルカード観戦 (2010/07/02)
どこに写真を撮りに行こうか迷ったが、前回行ったメルカードムニンシパル(市営市場)が良い写真が撮れそうだったので、そちらに行くことにする。試合開始の1時間前についたというのに、すでに行きつけの魚屋は閉まっていた。もう1軒の店にいってみると、今から締めて家で観戦するとのことであった。どうやら今日はメルカードで観戦する人が少なそうな感じである。 案の定、前々回の試合より観戦者が少ない。その上一番前で床に座って観戦することは禁止されていた。絵的には、床に人が座っている方が良かったのに! 試合前にフラッシュの電池を入れ替えると、なんと電源が入らない! フラッシュなしでは、暗い所に強いニコンのカメラといえども、とうてい綺麗に写らない暗さなので、諦めて中2階にあるショッペリア(ビアガーデン)に行くと、けっこうたくさんの人がビールを飲みながら応援していた。ここにいる人たちは、外から来た中流以上のお金持ちである。 試合中、一人のおじさんが「フィリャ・ダ・プータ、ジャポネス(日本人のクソッタレ)」などとスラングをしきりに喚き散らしている。僕は応援する人を撮るために、テレビを見ていなかったので、なぜ日本人をけなすのか一向に解らなかった。後で家に帰ってインターネットを見て納得がいった。審判が日本人だたのである。彼は日本人の審判に対して文句をいっていたのである。この時なんとなく嫌な感じがし、フラッシュを見ると電源がついていたこともあり、後半戦は庶民が集まる1階には帰ることにした。勘が働いたというか、実に運がよかった。というのは、後半戦に日本人の主審がレッドカードを出したからだ。もし、そのまま中2階に居れば、きっと僕に八つ当たりがきて、ビールか、つまみくらいは投げられていただろう。1階で見る人たちは主審が日本人だということをほとんど知らなかったのだと思う。誰も僕を気にすることなく観戦していた。本当にラッキーだった。 オランダが勝ち越しの2点目を入れ、観戦者の顔に悲壮感が漂い始めた。10分5分と終了時間が近付くにつれ、手を合わせる人や、胸を手でさする人、祈り始める人、目をつぶり下をずっと見続ける人が増えてきた。一番前で見ているおばさんは心臓の上に手を置いて口を大きく開けてちょっと苦しそうな感じである。きっと、この試合を見ている人の中には倒れた人間がいることであろう。前回のワールドカップでは僕の見ている前で2人が倒れた。 3人の若者が前にやってきて、応援し始めた。眼が完全に座っていてちょっと怖い。興奮してしきりに動き回るので、写真に入ってしまって邪魔でしょうがない。とはいえ、彼らもわざとそうしている訳ではなく、ブラジルの応援で必死なのである。僕も文句をいう立場ではないから、できるだけ彼らが入らないような場所に移る。 試合終了3分を切ったあたりから、ぞろぞろと人が帰り始めた。ブラジル人は諦めが早いのである。そして終了。長いお祭りも終わってしまった。ちょっと残念な寂しい気もするが、これでまた静かな生活に戻ることができる。試合のために客が入らなくて困っていた商店主たちもこれでほっと一息ついているだろう。 試合後の家路は、まるで運動会の後のような寂しさが漂い、ブブゼイラが高層ビルディングに虚しく響いていた。
 | 1階のサロンに集まった人々。ここはメルカードで働いている人達が集まる。前々回より人が少ないのが残念。音が響いて、耳が痛い |
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 | 中2階の人々。外からきたお客さんがショッピを飲みながら観戦。いかにもお金持ちそう。 |
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 | 中2階、ブラジルのゴールの瞬間。その後、みんな安心して余裕の顔つきで見ていたが・・・ |
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 | 1階、だんだん興奮してきて、前をうろつき回る男が3人。せっかくいい写真になりそうだったのに! |
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 | 急に立ちあがってスクラムを組む3人。眼が座っていて少し怖い |
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