7・9 銃口 (2010/07/10)
待ち合わせの時間に5分しかない。多分5、6分は遅れてしまうだろう。出る前にインターネットを見ていたのがまずかった。ついついぎりぎりまでみてしまった。そんなことを考えながら、ほとんど駆け足で歩いていた。 「警察だ! 止まれ! 手を上げろ!」野太い怒声が耳に飛び込んできた。声の方を向くと、20m先を歩いていた24,5歳の男に、2人の警察が銃口を向けて、走り寄っていた。その声の迫力からすると、警官もかなり気が立っているようである。犯人を追う映画のシーンそのままだ。その迫力に一瞬ビビッて、立ち止まった。ぼくのすぐ横を歩いていた女性も驚いて、口をあんぐり開けてみている。ちょうど銃口が、僕の方を向いていたので、離れているとはいえ、もし暴発でもすれば、流れ弾に当たってしまいそうで怖かった。何回かルア(通り)で警官に尋問を受けたり、捕まえられる様子を見たことがあるが、警官はせいぜい、いつでも銃をひきぬけるように、銃帯に手をかけているくらいである。この二人の警官は完全に撃てる状態で、銃を構えて飛び出してきた。全くひょえ~怖~、という感じである。 気がつくと、カメラに手がいっている自分に驚いた。確かに撮れれば、きっと迫力のある写真になったであろう。しかし、警官にきっと気付かれるであろうし、気付かれたら確実に尋問を受けるだろう。警官も気が立っているだろうし、とても写真は撮れない。 近づいていくと、つかまった男は落ち着いた感じで、警察の質問に答えていた。驚いたことに「なぜ、捕まえるのだ」と聞きさえしている。僕は遠くから見ていただけでもビビったのに、その男は一向に意に介さない様子である。その落ち着きぶりは異様でさえあった。普通の人間だったら銃口を向けて警察が大声をあげながら迫ってきたら絶対に驚くはずである。このようなことを何回か経験したことがあるのだろう。きっと犯罪者なのだ。 例え離れていても、銃口を向けられる恐怖というのを初めて感じた。
 | 南アフリカほどは危なくないと思うが、サンパウロも何があるかわからない。事件に巻き込まれる可能性も十分あるし、つくづく気をつけなければと思う。 |
|
|