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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2020/08/04)
8・10 真夜中のフッチボール

8・10 真夜中のフッチボール (2010/08/11)  眠りが浅いのか、子供の歓声で目が覚めた。時計を見ると、午前3時である。こんな時間に子供の歓声がするとは? ストリートチルドレンが、通行人を襲っているのであろうか? などと考えながら、22階のアパートの窓から下を見下ろす。小さな空間にあるコンクリートで固めたサッカー場? で子供たちがサッカーをしていた。良く見るとダブダブの服を着た男の子や女の子が盛んに歓声をあげながら、ソフトボールほどの大きさの丸いモノをサッカーボールに見立てて追っていた。
 シンとし静まりかえった真夜中に子供たちの歓声が響きわたっている。たいていのストリートチルドレン達は、寒さ、ひもじさ、寂しさなどの生活の辛さを忘れるために、普段クラック(麻薬)やシンナーを吸っている。それにもかかわらず、思っていた以上に機敏な動きで小さなボールを追ってるのを見て驚いた。しばらく、薄暗闇の中で10数人の小さな黒い影が動きまわる姿を見ていて、小学生の頃、薄暗くなっても路地で野球をした少年時代を思い出した。
 すっかり目が覚めてしまったので、ベッドに戻って、読みかけの、沢木耕太郎の「無名」を読んでいると、ふつっと子供たちの声が消えた。どうしたのかと思い、再び窓の外を見ると、パトカーが威圧するように赤い光を撒き散らしていた。多分、誰かが通報したのだろう。
 家庭を追われた子供たちは、ひとときの憩いの場さえも追われてしまったのだ。彼らの無邪気な子供心はどんどん失われ、荒んだ気持ちが彼らを包みこんでいく。そんな様子を見ていると寂しい気持ちになってしまった。彼らと同じ空間で生活していくうえで、シンナーや麻薬に酔っぱらった彼らに、モノを盗まれたり、傷つけられたりするのは腹立たしいが、なんとか彼らに普通の生活を取り戻してもらいたい、と思う。ある一線を越え完全に堕ちてしまうと、もとに戻るはもう不可能に近い。自分の生活さえままならない僕には、できることなどほとんど無にちかいのだが、まだ、子供の無邪気さをもつ間になんとかしてあげたい。


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