8・12 マサアキ (2010/08/13)
「セニョールは、マサアキのお父さん?」 アパートのエレベーターで乗り合わせた、黒人系の子供が尋ねてきた。 「そうだよ。あれっ、君は息子と同じ学年だっけ?」 「ひとつ下だよ」 ブラジルの学校は、日本のようなマンモス学校がすくないせいか、学年が違っても皆知り合いなのである。息子と歩いていて、小さな子供が息子に声をかけてくることがしばしばあった。聞くと、「同じ学校の子供だよ」という。僕の小学生の頃は例え顔見知りでも学年が異なれば、挨拶や声をかけたりしなかったが、ブラジルでは皆気軽に声をかけあっているようである。そういう意味ではブラジルの子供社会は年齢の垣根が少なく、よりオープンな気がする。 家では、息子はエドアルドとブラジル名で呼んでいるので、突然マサアキと言われてもピンとこなかった。そういえば、学校では、マサアキと呼ばれていると言っていたことを思い出した。その時、なぜ、マサアキと呼ばれるのか、と聞いた。同じクラスにエドアルドという名の子供が3人もいるから、という答えが返ってきた。さらに「マサアキという名前を気に入っているか?」と聞くと「気にいっているよ。だって、おじいちゃんのマサとお父さんのアキからつけたなまえでしょ」マサアキという名前の由来を随分前に教えたことがあった。彼はそれを覚えていたようだ。それを聞いて、妙にうれしくなった。この名前をつけたとき、友達にマッサ(麺)と言ってからかわれるのではないかという心配が多少あったが、それは考え過ぎだったようで、からかわれることもなくこの名前になじんでいるようである。 マサアキは漢字で「理央」と書く。友人のお母さんが漢字の画数などを見てつけてくれたのだ。この時、僕は、親思いの子供になるような名前にしてほしい、と頼んだことを覚えている。自分が親不孝ばかりしてきたので、子供には親孝行になってもらおう、と思ったからだ。当然、親不孝ばかりをした人間が、子供に孝行してもらおう、というのは甘い話である。僕がした親不孝を子供に返されても仕方がないな、と今から覚悟はしている。
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