8・14 箸 (2010/08/15)
うちには箸がない。 随分前に友達にこういうと「箸がないなんて、日本人として恥ずかしいことだ」とかなり本気で怒られた。そのときは、「確かにそうだ」と僕も思い、早速、息子といっしょに、日本人街に買いに行った覚えがある。 それから、2,3年過ぎて、今日、自分がフォークでご飯を食べていることに気がついた。あのとき買った箸はどこかにいってしまい、もう、1本も見当たらない。犬がどこかにくわえて行ってかじったのか?、台所の棚の後ろに入り込んだのか? いったいどこに行ってしまったのだろう。 箸が無くなったことも全然きがつかずに、結局フォークで食べていたということは、僕にはフォークの方が、もう便利になってしまっているからであろう。考えてみれば、僕の箸の持ち方はおかしい、と言われ、人前で箸で食べるのは恥ずかしかった覚えがある。箸の持ち方がおかしい、ということはきちんと使えないということであり普通の日本の人に比べると器用に何でもつかんだりすることはできなかった。 2本の箸があれば、たいていなんでも掴むことができ、切り分けることができ、これほど便利なものはないと思う。それにもかかわらずフォークになってしまったということは僕にはこちらの方があっているのだろう。ささいなことではあるが、自分の中から「日本」が少しずつ消え去っていっているようでさびしい。先人の移民の方々も、ブラジルに長年すむうちに、少しずつ少しずつ、気がつかないうちに「日本」というものを失って行ったのだと思う。 僕もやっと移民になった、ということかもしれない。
 | 犬も日本の犬とブラジルの犬では性格が違うように思う。ブラジルの犬はしまりがなくダラダラしているように感じる。それはうちの犬だけ?? |
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