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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2020/09/22)
8・18 1年ぶりのファヴェーラ

8・18 1年ぶりのファヴェーラ (2010/08/19) 久々に以前何回か行っていた、コミュニダーデ(ファベーラ=貧民街)に行く。2か月に1度は、ボランティアの方にご一緒させてもらっていたのだが、最近は別の場所に行っていた。
 ほぼ1年ぶりのコミュニダーデは、見た目はさほど変わっていなかったが、住んでいる人たちの何人か引っ越してしまい新しい人が入っていた。一番びっくりしたのは、子供たちだった。去年会ったときはまだまだ子供だったのに、今では胸や腰が一人前の女性のように大きくなり、一瞬目のやり場にこまった。うちの息子もそうだが、13歳を過ぎると急激に大人に近付くようである。
 ご一緒させてもらっている、ボランティアのヨランダさんに「子供たちが大きくなっているのでびっくりしました。人も30%くらいは変わってしまったようですね」というと「そうね、こなくなってもう1年はたつからね~。やっぱりファベーラの人たちの入れ替わりは早いわね」
 ヨランダさんは、何人かの知り合いの住人の住居を訪問して話しを聞いてあげる。その間に、僕は、本人が了承してくれたら写真を撮る。
「モノなどの援助をするだけでなく、話しを聞いてもらうだけでも、彼らはすごくうれしいみたい。そういう意味では、あなたと歩くのは、話しを聞いてあげられるのですごくいいのよ。ボランティアや援助する人がいろいろ来ているみたいだけど、彼らは親身になって話しを聞いたりしないから」40年間ボランティアを続けてきて、人が喜ぶのを見るが私の唯一楽しみ、と言うヨランダさんを見かけると、皆うれしそうな顔をして寄ってくるし、街を歩いていると、あっちからもこっちからも、挨拶の声がかかる。
 双子の子供を産んでぶくぶくと太っていたモレーナの女性が、すっかり痩せてきれいになっていた。「随分やせて綺麗になったね~」「ええ、今は働いているしね。へへへ」道理であの頃一度写真を撮ってからは、2度と撮らせてくれなかったわけである。元はこんなにきれいだったのである。
 1年前に、「後で写真をタダでくれるなら、撮らせてやる」と嫌みな言い方をしていた男がいた。その言い方にムッとしながらも写真を撮ったことがあった。そんなことを言われなくても撮った写真は無料であげていた。しかし、その男も何枚か写真をあげてからは自分の方から写真を撮ってくれと頼むようになっていた。その男が、今家を改装しているんだと、誇らしげに言って僕の傍によってきた。彼は、15歳ほど年上の子持ちの女性と結婚していた。当時は、交通事故にあい足を怪我したこともあり、彼は日がなぶらぶら、ヒモのような生活を送っていた。そのころは暗い意地悪そうな顔をしていたが、今はすっきり明るい顔をしている。
 あの頃知り合った多くは、仕事をしたり、家を新しく改装したり、生活はよくなっているようであった。そんな彼らを見ていると僕もすっかりうれしくなった。
 3時を過ぎると、仕事から帰ってきた見知らぬ男たちの姿がちらちらとし始めてきた。これ以上長くいるのはよくない。去年撮った何人かは盗みや麻薬関係で留置場に入っていて写真を渡すことができなかった。新しく入った人のなかには麻薬や盗みに手を染めている人もいる可能性があるから、写真などはもっての他である。誤って撮ったりすると飛んでもない事件に巻き込まれる可能性もないでもない。ここらが退散どきである。ヨランダさんも僕の気持ちを察したようで、皆に挨拶してファベーラを後にした。


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