8・23 日曜日のセントロ (2010/08/23)
今日は快晴の日曜日。窓から外を眺めていてもいかにも気持が良さそうである。チャールズ・ダーウインの伝記、映画「クリエーション」を見ているうちに、ついつい引き込まれてしまい気がつくと4時を過ぎていた。 日曜日のセントロは人通りが少なく、路上生活者やストリートチルドレンが多いので、普段はあまり出ない。あまりに天気が良すぎたせいか、映画を見て気持ちが高調していたのか、写真を撮りに行く気になった。もし、気にいったシーンがあって撮れなくても、頭の中のフィルムに焼き付けれれば、それでいいじゃないか、という軽い気持ちであった。 お茶の水橋を渡り、ジレイタ通りを抜ける。いつもはカメロー(露天商)や、歩行者で一杯のこの通りも、ほとんど人がおらず、ガランとしている。こんなところで、強盗に囲まれたら、イチコロだなと思いながら歩く。 普段はあまりみかけない子供づれのボリビア人家族が目につく。多分、普段は仕事仕事の彼らも、日曜日は家族とのんびり散歩するのだろう。その場所が、ガランとしたセントロというのが、ちょっと寂しい。サンパウロに出稼ぎにきて、お金をできるだけ節約しているのだろう。そんなつつましさが沁みる。 そろそろセ広場が見えかけた頃、クラリネットの間延びした太い音色が人気の少ないビルディング街に反響して耳に飛び込んできた。最初はラジオか何かなと思ったが、時々つっかえつっかえしているので、誰かが吹いていることが解った。最近、ルアの(路上の)音楽家を撮っているので、音を辿って見る気になった。うまくしたら、写真を撮らせてもらえるかもしれない。 通りを曲がると、大きな荷物を数個周囲に置いた、黒人青年が気持ち良さそうにクラリネットを吹いていた。 近寄って、「写真を撮ってもいい?」と聞くと、「いいよ、いいよ」と快く許可してくれた。「ルアの音楽家」ばかりを撮っているんだ。そういうと、一瞬目を輝かせた。 何枚か撮って「できれば、写真を差し上げたいんだけど、いつもここにいるの?」と聞くと、「7時半からいつもここにいるよ」という。7時半のこの辺は、店はどこも閉まってしまい人通りも少なく結構危ない。こざっぱりした服装はしているが、その荷物の多さ、7時半からここにいるということは路上で生活しているのだろう。しかし、そんな生活を感じさせないほど彼は爽やかな感じの青年であった。 街のわずかな光線の中で、クラリネットを吹く彼をまた是非撮らせてもらいたくなった。それにもうちょっと彼と話しもしたい。前に置かれた募金箱にお金をいれながら、またの再会を約束した。
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