9・5 フェイラ (2010/09/06)
久しぶりにフェイラ(市)を覗いてみた。家の近くの、このフェイラはどんどん貧弱になるばかりの感じである。販売用バラッカ(テント)の数も減ったし、売っているモノもぱっとしない。値段も結構高い。多分スーパーなどの小売店に押されているのであろう。 以前は毎週野菜などの買い出しに毎日曜日きていたのだが、質も悪く、結構高いのと、売り子が小ズルイ、横着な人間が多いのでいくのを止めていたのだ。特に家の近くに立つフェイラは特にひどいような感じがする。気のせいか? レモン(ライム)を買おうと、ひと山2レアルで売られているものを見ていると、売り子が近寄ってきた。 「できるだけ、青いモノが欲しいんだけど」 「2レアルだよ」 「レモンはどれくらい持つのかな?」 「ひと山2レアルだよ」 ちゃんとした文法のポルトガル語を話しているのに、まったくトンチンカンな言葉をくりかえす。挙句の果てに、一緒に行っていた息子に「おまえのお父さんは、ポルトガル語がはなせないのか?」と聞く。カチンときて、「ちゃんと話しているじゃないか、アンタはオレのポルトガル語が解らないのか? オレはアンタの言うことは全部解っているんだよ」というとさすがに罰の悪そうな顔をした。だいたい、この男は初めから人の言うことを聞こうという態度をしていなかった。 以前、バイアの田舎に行ったときに、「ホテルはどこにあるのか」と女性に聞いたことがある。何度ホテルと言っても彼女は解らなかった。もちろん僕の発音が悪いこともあるだろうが、今までブラジルのどんな所で「ホテル」と言っても通じなかったことは一度もなかった。彼女は、よっぽど勘が悪いか、最初から僕の言う事を外人だと思い聞こうとしていなかったのである。このとき、「聞く」という気持ちを持たないと、人のいうことは理解できない、ということを知った。 この男はやっと聞く耳を持ったようで、ちゃんと僕の言う事を理解し始めた。話すと意外に悪い奴ではなく、むしろ気のいい田舎のにいちゃんと言った感じの奴だった。僕もついつい彼をバカにしたような態度を取ってしまった事を軽く悔いながら、レモンを買った。 息子には、僕のような短気な態度をしてもらいたくないから、特に息子の前では、あまり短気な自分を見せたくなかった。そのためには、誰に対してもいつもニコニコ笑顔で話すことを心がけなければ、と最近自分にいいきかせている。
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