12・4 落ちこぼれ (2010/12/05)
やっと3日間の仕事が終わった。自分の本業とは異なるアルバイトであったが、いろいろ人生勉強になった。2日目で既に嫌になり、3日目は修行に行く気持ちで出かけた。そう考えることで、やっとやる気になった。今回ばかりは、途中で放ることなくやり遂げた自分を褒めてやりたい。 「いつも、そんなことばかり言ってるわね」 たまたま電話をかけてきてくれたKさんに諭された。サンパウロ州とマットグロッソ州の境ほどに住んでいるKさんは2カ月に1度くらい電話をかけてきてくれる。僕よりもずっと年上のおばさんであるが、妙に気があう。お互いに我侭で気ままな人間でであるからかもしれない。僕は、他人と仕事をするたびに同じことを言っていたのか・・・。彼女に言われて初めて気がついた。そうなると、今後、他人と一緒の仕事は極力避けた方がよさそうである。 「生きていくためには、嫌なこともやらなきゃ!」とKさん。 「えっ、Kさんにそんなこと言われるなんて・・・・・」 「わははははっ」 自分でも解っていたのだが、やはり僕は、我侭で、人に命令されたりするのが嫌いなのだ。さらに、妙に気が小さくて、短気で、繊細なところがあるから、人の言動などに過敏に反応してしまう。そんな人間であるから、結局は日本から落ちこぼれてしまったのだろう。 「落ちこぼれ」とは、一般的に悪い意味に使われ、マイナスイメージがあるが、僕はそうは思わない。以前、自分の説明をするときに、この言葉を30歳ほどの女性に言った。「そんなマイナスなことを言わないでください」とかなり真剣に言われてしまった。彼女としてはプラス思考になれ、ということを言いたかったのだろう。僕としては、マイナス思考で言ったつもりはまったくなかったので、むしろ驚いてしまった。気持ち的には、「どうして皆と一緒にしなければならないのか」「努力して上で合わなければ、ずっと無理をしながらいるよりは自分の居やすいところがいた方がいい」と思っていた。日本の社会から落ちて、外れてしまっただけである。それはかならずしも、悪いことではないと、今でも思っている。でも、僕のような人間は、日本の社会から見れば、完全な「落ちこぼれ」である。 では、ブラジル社会に入ってバリバリやっているかといえば、そうでもない。日本人社会にも入れずブラジル人社会にも入れない、中途半端な立場にしか、いることができない。しかし、この立場で、意外に気持ちよく生活できていることは確かである。僕のような中途半端な人間でさえもいさせてくれるサンパウロという都市の鷹揚さと適当さが僕は好きである。
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