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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
2・29 襲われた息子

2・29 襲われた息子 (2011/03/01)  息子も大きくなり、やっと一人で外に出ても安心できるようになった。
 と、思っていたら、強盗に襲われてしまった
 友人との待ち合わせ場所に行くのにコンソラソン近くを歩いていたらしい。後ろをつけられ人通りの少ないところで、携帯を要求され、しぶしぶ渡したとのことであった。
「僕と同じくらいの奴で、麻薬でちょっとおかしかったみたい。麻薬売人に払うお金が必要なんだと言ってたよ。携帯は取られたけどチップは返してくれたし、カバンも何も取られなかったよ」
 とそのときの様子を淡々と息子は語ってくれた。
 せっかく少林寺拳法をやっているのだから、そんな奴、やっつけてしまったらいいのに、と言おうと思っているときに、母親が「携帯だけで済んで良かったわ」と安心したように言うので、もう、何も言わなかった。確かに、安い携帯のために、もし怪我をしたらはバカらしい。
「もう、絶対一人で歩いちゃダメヨ」という母親の言うことを息子も神妙に聞いていた。
 日本から来たばかりの頃、3人組に襲われたことがある。持っていたカバンを取られそうになったが、離さなかった。護身術も何もしらない僕は、怒りで逆に身体が動かなくなり、何もできなかった。カバンを離そうとしないので、相手は殴ってきた。そのうちの1発が口にあたり、5針も唇を縫う怪我を負わされた。
 血を流しながら、近くの日系の援協(診療所)に行くと、血を流している僕を見て、ここでは治療ができないから、他の病院に行ってくれと、追い返された覚えがある。この時のことを考えるといまだに腹が立つ。少なくとも、病院であるから、仮の手当てぐらいはするのが当然だと思う。
 それ以来、セントロで毎日のように写真をとっているが襲われたことはない。もっとも、常に後ろには気を配り、歩くスピードを変えたり、かなり気をつけている。歩いていて、ときたま、ガラスに写る自分の顔を見るとかなり怖い顔をしている。こんな顔つきの男は襲いたくはならないのだろう。
 もし、銃や刃物で脅されたら、カメラを差し出すか? そのときになってみないとはっきり解らないが、多分渡さないと思う。カメラを惜しんで、怪我をしたり、死んでしまったら、なんとバカな奴だといわれるかもしれないが、それも仕方がない。カメラは僕にとって刀と同じようなものだから。


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