4・7 勘違い (2011/04/08)
「学校から電話があって、エドアルドの今の成績じゃ、進級できないって言われたの?」母親の沈んだ声が、受話器から流れでた。 「えっ!! ついこの間まで、彼の成績はいいっていっていたじゃないか!」「それが、今回の数学の試験は2で英語は0だったんだって」 「ゼロ! ゼロということは勉強なんかしたくないっていうことだよな!」 カーッと頭に血が上るのが自分でもわかる。いったいあいつは何をしているんだ。10点満点で0と2しかとれないなんて! 勉強したくないのなら、しなくてもいいし、学校に行く必要もない。0というのはまったく勉強するきがないとしか思えない。息子が帰ってきたら問いただして、勉強する気がないのら、学校に行く必要はない、と言うつもりであった。 「とにかく学校へ行ってみるから」彼女は重い声を残して電話を切った。 息子が望むなら、できるだけのことはしてやろうと思っていた。しかし、やる気がないのら、学校にも行く必要がない。働けばいいのだ。勿論いい大学に入って、いい仕事に就いてくれればうれしい。しかし、彼を僕の敷いたレールに乗せるつもりはまったくない。彼の人生である。好きにすればいいのだ。大人になって勉強したくなれば、すればいいだけである。その旨を彼に告げようと思っていた。子供思いの父親なら、なだめすかしてでも学校に通わすだろう。僕は冷たいのかもしれない。話し合って、やる気がないのなら、学校をやめさせて働かせよう、という気になっていた。 2時間後、再び彼女から電話がかかってきた。 「エドワルドじゃなかったわ! 同じクラスの別のエドワルドだったの。先生が間違えていたみたい」いかにもほっとした感じが受話器を通して伝わってきた。 なんということだ。まったく人騒がせな先生である。先日の銀行の問題といい、腹立たしい勘違いが続く。
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