7・18 気の弱さ (2011/07/19)
今日は週に1回の魚の買出しの日。最近、魚を買って、ワインを買って、カウド・デ・モコト(牛の足を煮込んで旨みをとったスープ)を飲む、この一連の作業がなんとも気に入って、この日が楽しみになっていた。 魚を買った後、魚のエサ用に、牛ハツを買わなければいけないことを思い出した。ピララーラ(レッドテール・キャッツ、尾びれが赤いなまず)が飼料を食べないので、刺身用の魚が手に入らないときに冷凍した牛ハツを与えていた。そのハツが切れていたことを思い出したのだ。 臓物ばかりを売っているボックスに行って、「一番小さなモノをちょうだい」と頼んだ。ブラジルではたいていのものは、丸々一つ買わなければならないのだ。最近でこそ、スーパーでパック売りのモノが売られているが、メルカード(市場)では、魚も果物もたいてい1個売りからである。 売り子の兄ちゃんはわりかし人のよさそうな顔をした白人系の青年であった。彼が出してきたものは、色が変わりかけのモノだった。さすがに、これを買うのは嫌だった。「これあたらしい?」「新しいよ」表情も買えずに青年はいう。「これは嫌だから別のものに換えて」というと彼は嫌な顔をせず、もうひとつのハツを出してきた。 大して変わらないような気もしたが、さっきのモノよりは幾分色もいいようだ。もう一度別のモノに取り替えさるのは悪いような気がして、つい「それでいいよ」と言ってしまった。気の弱さが出てしまったのだ ガラス越しに見えるハツは色も購入したものよりはるかに、新鮮に見える。古いモノを後ろにおいてあったのだろう。すでに包んでいたのでさすがに、取りかえれくれとはいえなかった。 なぜ、もっと粘って、もう一度取り替えさせなかったのだろう。しつこく自分をなじる。普段だったら、もう一度取り替えさせただろうに。それだけ自分の精神状態がよくなく、気弱になっているのだろう。しかし、もし相手が威張っていたり、古いモノを売りつけようとしている素振りを見せていたら、そのまま買わずに帰ってしまったかもしれない。が、不思議にこの青年からは、そういう嫌味が感じられなかった。おそらく彼にとって、この仕事はどうでもいいもので、古いモノを売りつけてやろうなんて気もなかったのだろう。並べられている順に売っていうるだけなのだ。やっぱり、自分の納得いくモノを買えないと腹立たしい。帰り道中、買ってしまった自分の気の弱さが腹がたった。 年をとったせいだろうか。仕事でも買い物でも、自分が納得いかなければ非常に腹立たしい。悪い傾向ではないと思うが、仕事以外は、あまり意固地にならないように、と気をつけている。
 | 肉、魚、果物、乾物、香辛料・・・、メルカード(市場)にはいろいろな食料が揃っているが、値段は意外に高い。ただし、新鮮で質がいいモノが揃っていることは確かだ。 |
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