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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
7・28 人間不信 [画像を表示]

7・28 人間不信 (2011/07/29)  薄暗くなったリベルダーデのサンジョウキン通りをメトロの駅に向かって歩いていた。その途中、向かいからきた、知らない男が近づいて来た。2mほどちかづいた所で「ガルボン・ブエノ通りに行くにはどこですか?」と尋ねてきた。一瞬止まろうかどうしようか、と迷ったが彼を見ると、白人系の育ちのよさそうな青年だったので教えることにした。しかし、1m半以上の間隔を取ることは忘れていなかった。
 人に尋ねるふりをして、拳銃や刃物をちらつかして、襲うというのはよくある手である。以前、時間を聞きながら近づいてくる男がいたので、時計を持っていない、言おうと、ふと彼の手を見ると、隠し持っていた拳銃が街灯に照らせれ鈍い光を放った。その光が、彼が行動にうつすより速く一瞬目にはいったので電気に打たれたようにさっと逃げ難を逃れたことがある。逆にお金持ちが多く住むジャルジンパウリスタ地区で、50歳ほどの女性に道を聞こうと声を掛けた。彼女は慌てふためき、道路の段に足をとられ危うく倒れそうになった。これには僕も非常に驚いた。もし彼女が怪我をしたら僕の責任になったかもしれない、そう思うとぞっとした。それ以来、知らない人に、尋ねられ時も、尋ねる時も、一定の間隔以上は近づけないし、近づかない。
 長年、ブラジルに住んでいる間に、身を守るために身についてしまったことだが、人を信用できないというのは、ちょっと寂しいことではある。

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セ広場で聖職者の話を聞き入る人々。
他人が信用できないブラジル社会では、唯一信頼できる母親との結びつきは非常に強い。その母親が子供を捨てる時代になった今、人間関係は今後どうなるのだろうか?


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