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     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
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8・2 労働法 (2011/08/03) 「弁護士! 労働裁判の弁護士!」
 人通りの多いセントロの交差点付近には、最近、弁護士の呼び込みが増えた。これらの呼び込みを雇う弁護士はたいてい所謂悪徳弁護士。会社や店を辞めた人に、訴えを起こすように唆して金をふんだくる。聞くところによると、勝訴しても客の無知にかこつけて、わずかばかりのお金を渡すだけで、ほとんどは自分の懐に入れてしまうらしい。
 ブラジルの労働法は前世紀の法律と言われるほどひどいもので、完全に労働者側にたった法律である。10ねんほど前は、たとえ、会社や店側に過失が無くても労働者が訴えれば9割がた労働者が勝つといわれていた。悪徳弁護士は、この労働法を利用してお金を稼いでいくのだ。それでも、さすがに最近は大分改善されたようであるが、まだまだ労働者有利になっていることは確かである。
 この偏った労働法が、今まで海外からの企業の進出を阻んだ理由のひとつだと言われていた。企業側とすれば、辞めた労働者達に次々と訴えられたらたまったものでない。長年働いた高級取りにでも訴えられそれこそ半端ではないお金が飛ぶ。簡単にお金を払う会社と思われると、会社を辞めて訴えてくる社員が次々と出てくるので、会社側もガチガチの契約をし、紙にサインをさせ、訴えられても簡単には負けないよにしている。たとえ負けてもさらに控訴をして簡単にはお金を払わない所が多い。おどろくほどの訴訟があるために、判決がでるまでに数年かかる場合もある。そのうちにお金がすぐ欲しい訴えた側がじれて示談を申し込んでくる場合が多いようだ。
 もう大分前になるが、僕も雇っていた子守に訴えられたことがあった。結婚するから辞めると自分から辞めていったにも関わらずだ。裁判では、相手は、働いていた期間など散々嘘をつき、僕は当然ながら負けてしまった。だいたい、裁判長は、こんな小さな訴訟なんて早く終わらせてしまいたいというのがミエミエで僕の雇った弁護士などは一言も弁護をさせてもらえなかった。この弁護士が間抜けだということもあるだろうが、なんのための弁護士かということになる。雇うだけ無駄であった。
 聞くところによると、きちんと登録して雇っている場合は、昔ほど雇用側が負けることはないらしいが、それでも悪徳弁護士にあらゆることを吹き込まれた人間は嘘八百をつき、それが時に認められこともあるらしい。
 町に弁護士の客引きがこれだけ増えたということは、それだけ辞める人間が増えたということか? テレビのニュースでは、登録雇用が最大を記録したと伝えていた。さらに失業率も下がっている。仕事ができない人がどんどん切られる一方で優秀な人間は雇われているということだろうか?  ということはきちんと登録して雇った場合には、以前のような完全労働者側にたった裁判が少しはかわりつつあるのかもしれない。

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