8・4 ヒステリー (2011/08/05)
「前の人が行かないからしょうがないでしょ!」「・・・・」 バスの昇降口で、おばさんらしい皺が我声がバスの中に響いた。ちょっとした言い合いは、よくあることだからすぐ終わるかと思っていたが、この言い合いはそれからも数分続いた。そうするうちに、おばさんの言葉の中に「ポーハ(精子)」「カラーリョ」など普通婦人が使わない汚い言葉が、飛び出し始めた。周囲の人々も彼女のあまりに汚い言葉に、「子供もいるのだから、・・・」というような批判が彼女に向けられ始めた。 「ぎゃーっ、皆して私を攻めて・・・・、ギャーッ」ついにこのおばさんは、キレて悲鳴をあげ始めた。こんなに大勢の中でヒステリーを起こすなんて、いったい、どんな顔をした女性なのだろう、好奇心が沸き、顔を見たくなったが、残念ながら僕のいる場所からは見ることができなかった。 ヒステリーを起こした人間のすぐまじかに居るのは、初めてのことだったので驚いた。ここ数年、サンパウロ市内は人が増えに増え、どこに行ってもうんざりするほどの人がいる。これだけ人口密度が上がれば、当然、人と人との摩擦は増えてくる。その上、ますます治安は悪くなっているから、ヒステリーを起こす人間が出てくるのも当然のことだろう。 そういえば、大声で独り言を言いながら歩く、見かけはごく普通の人も見かけるようになった。精神的に問題を抱えた人が増えてきたのかもしれない。
|