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     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
3・3負の連鎖

3・3負の連鎖 (2012/03/04) 普段からタクシーは嫌いで、たとえお金を出してあげるからといわれても、できれば乗りたくない。
 今日はフラッシュに3脚などの撮影機材が必要な仕事で、タクシーを使わなければならなかった。行きはいつも使うタクシーのポントで頼み、なんの問題もなく気持ちよくのれたが帰りがひどかった。
「タクシーを頼みましょうか」と仕事依頼者から言われたが、断ったのが間違いのもとであった。頼めばよかったのだ。
 最初からその運転手は何かおかしかった。後ろ荷物置き場に荷物を入れる場合は普通だったら運転手はさっと降りてきて、荷物を入れてくれるが彼は降りてくることもせず、乗ったままで荷物置き場の扉を開けただけだった。さらに、まだ、座っても行き先も告げていないのにタクシーメーターのスイッチを入れていた。普段だったら文句を言うか、乗車を取りやめる所であるが、4時間近い撮影をしてもうくたくたであった。もういいやと思い何もいわなかった。
 普段だったら、せっかくタクシーに乗ったのだからと思い、最近の景気や街の様子をいろいろ聞くのだが、運転手の態度と疲れで一言も話さなかった。途中、知人からの電話が入り、日本語で会話したときに僕が外国人だとわかったようであった。もっとも、日本語を話さなくても、僕のヘタな日本語訛りのポ語を聞けば、すぐ外国人とわかっただろうが・・・・。
 なんとなく遠回りをしているような感じがしないこともなかったが、それほど大回りというほどでもなかったので黙っていた。僕の肉体からは、「嫌な奴にあたった」という波長が発散されていたのかもしれない。
 アパートの前に着き、メーター通りの金額15.5レアルを払おうとすると18レアルだと、しらっとした調子で言う。どうして、と聞くと、後ろの荷物置き場を使ったからだという。ブラジルで今まで何十回もタクシーに乗って荷物置き場を使ったが、お金を請求されたことは一度もない。「わかった。じゃあ警察を呼ぶよ」というと後ろの席の窓に張った紙をさして、「条例で荷物代を要求していいことになっているよ。読んで見ろよ」という。情けないことにポ語を読むのは僕は非常に苦手で、小さな字で一杯書いている紙のどこにそのことをかいているかを見つけ出すことさえできないだろう。その上近眼でよく読めない。「警察を呼んでもいいけど、メーターは回させてもらうよ」という。そこまでいうからには条例だということは本当のような気がする。こんな奴とは早く離れて、プレートナンバーを控えて訴えればいいだけである。そう思いつき、腹立たしいが18レアルを払い、荷物を出した。そしてプレートナンバーを控えている僕を見て、「領収書がいるなら、領収書を書くよ」という。じゃあ、書いてくれと言うと、領収書を書いてわたしてきた。
 あまりに腹が立ったので訴えてやろと思い、行きに使ったタクシーのポントに行ってお客を待っている運転手に聞いてみた。
「たしかに条例で、荷物置き場使用料を取ってもいいことになっているよ。でも普通は、よっぽど一杯の荷物がある場合しか請求しないね」
 あいつの言っていたことは正しかったのだ。だからあれほど自信を持って言い切ったのか・・・。さらに聞いてみた。
「客が座ってもいないのに、行き先も聞いていないのにメーターを入れるのは間違っているよ。まるで蟻だね」と言って笑った。
 5レアルにも満たないお金のことで、ああだ、こうだ、というつもりはない! 少しでもお金を取ってやろう、外人だから取ってもいいだろう、という根性が気に入らない。もう、僕はこれ以上何もしようとは思わないが、僕が何もしなくても、あの運手集はきっと客に訴えられるだろう。やろうと思えばいくらでも文句はつけられるのだから・・・。これでますますタクシーは嫌いになりそうである。
 しかし、最近はこうしたゴタゴタが多い。こうした嫌な奴に多く出会うということは、僕自身からそうした嫌な奴らをひきつける波長がでているのかもしれない。早くこうした負の連鎖を切らなくては! 人に悪いことをしているつもりはないが、気がつかないうちに人を不快な気持ちにしているのかもしれない。僕自身も常に明るい気持ちで善行をするように心がけた方が良さそうだ。
 そういえば、最近友人にみてもらったカード占いで、人と言い合いになる揉め事が続く、という卦が出ていたことを思い出した。いつも、ほとんど協力するつもりで会うと見てもらうのだが、今回はばっちりあたった。もっとも、占いなどは、どうとでも当てつけることができるから、必ずしも当たったとも言えないような気がするが・・・・。でも当たったと言えば、彼女も喜ぶだろうから、今度電話でおしてあげよう。


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