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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2020/08/06)
6・3 ファヴェーラⅢ

6・3 ファヴェーラⅢ (2012/06/04)  ジョアンナ(仮名)が住んでいる地区に向かう。ジョアンナは上は22歳から下は8歳までの6人の子供たちと暮らしていた。彼女は一時期麻薬にのめり込み、たくさんの子供を抱えながら、ガスコンロも冷蔵庫もないような最低の暮らしをしていた。その頃、夫は刑務所に入れられ、辛かったのだろう。辛さ、寂しさを忘れるために麻薬に手を出し溺れてしまった。ガリガリに痩せてしまい、実際は40代なのだが、60代の年寄りにしか見えなかった。
 家に入れてもらって写真を撮らせてもらったが、家の中はゴミの山さらに、雨漏りで土の床にはいたるところ水溜りができ、人が住めるような状態ではなかった。こんな所で子供6人がすむなんて! 驚いた。当時16歳長女が薄暗い家の中でひとりひっそりと14型テレビを見ていた。テレビの青白い光に写しだされた、ゴミの山がいっそう部屋を暗侘しいモノにしていた。
 その後、この長女は家出してしまい、セントロ付近で売春をしているという話を聞いた。ジョアンナは麻薬もやめ、働き始め、ふっくらと肉もつき、麻薬にのめりこんでいた頃とは別人のようになっていった。最初のうちは懸命に娘を探していた彼女も、「私は、他のたくさんの子供を育てていかなけれないから、もう彼女を探さない。彼女が選んだ道だから仕方がないわ」そう言って長女のことを諦めてた。長女は、右腕に母親の名前を刺青に彫るくらいだから、深く母親をしたっていたのだろう。僕が「刺青なんか入れないほうがいいよ」というと素直に頷くような子だっただけに、家出をしたと聞いて僕も悲しかった。
 その娘が子供を生んで帰ってきていた。まるまると太った男の子で彼女に目元がよくにていた。「今、彼と住んでいるの」そう言って、嬉しそうに笑った。娘が帰ってきて、ジョアンナはほっとしたのもつかの間、今度は夫がどこかに行ってしまった。8歳年下の夫は病気がちで、仕事もしばしば休むようになり、ふっといなくなってしまったらしい。夫が刑務所から帰ったとき彼女は喜びに喜び、麻薬もきっぱりとやめ、まじめに働いていただけに、夫が居なくなったときにはかなりがっかりしたようだ。
 ファベーラの男たちはなぜか、年上の女性と一緒になる男性が多い。それも6歳、12歳とかけ離れた年齢差のカップルが多い。一人の黒人男性は全く働かず、ひがなブラブラとしている。もう一人の知り合いの男性も、3年ほどなにもせずにやはりブラブラしていたが、今回会うと、働いて結構お金を稼いでいるらしい。顔つきもしっかりした表情になり、身体もしまっていた。以前は麻薬でもやっていたのか、いつ会ってもトロンとした目つきをして妙に絡んできたものだ。
 ファヴェーラの女性たちは働き者でしっかり者が多い。たいてい一人でたくさんの子供たちを育てている。そんなしっかりした女性が、若い男と、ひょっとしたはずみに関係ができてしまい、女性側もついついくっついてしまうのではなかろうか。働かない若い男に愛想がつき、おいだしたという、強い女性もいたが、たいていの女性はととえ男がはたらなくても、自分が懸命に働き家族を支えていくようである。
 今回のファヴェーラ行きは、いろんな話も聞け、皆の元気そうな顔を見ることができ嬉しかったが、街の不景気がもうファベーラの人々に影を落とし始めているのを感じた。またインフレが始まるのだろうか? ますます街の治安が悪化しそうで怖い。


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