7・11 拾い物 (2012/07/11)
一昨日あたりから、2万レアル(約90万円)を拾って届けた、2人の路上生活者のニュースをよくみかける。この2万レアルは日系のレストランに入ったドロボウが落としたものらしく、持ち主の日系人はお金が返ってきて大喜びで、2人を故郷のマラニョン州にかえって家族を見たいという申し出にその交通費を出し、さらにサンパウロに帰ってきたら、職場も提供すると約束したらしい。さすが日系人ふとっぱら! 記事を読んですっかり嬉しくなった。 と、そこまでは良かったのだが、そろそろ仕事に行こうと思い、エレベーターに乗ると、10階に住む住人が下で女の子が待っているからと言って、自分はのらずに20レアルをエレベーターの床の隅においた。そして7階で再び止まり、中年のおばさんが乗りこんできた。顔を見ると、ひきつった意地悪気な顔。初めて見る顔だったので、きっと外の人間なのだろう。 初めはこのお金に彼女は気がつかなかったが、3階くらいで気がついたらしい。知らない振りをしてお金の近くにいき、そのお金を踏んづけて、じりじりと自分の方に寄せようとし始めた。すぐ地上階につくので僕は何も言わなかったが、もしお金を拾うとしたら、「そのお金は下で待っている人がいるんだよ」というツモリだった。 地上階に着き扉が開くと、お金を待っていた女性が待ち構えていた。 「あっ、このお金あなたのだったの?」と言って、踏んづけていた足をのけて、すたすたとエレベーターを降り歩いていった。そして、建物の扉のところで、僕の方を不満そうな顔をしてチラリと見た。 もし、僕がいなかったら、お金はネコババするつもりだったのだろう。足をのけたときも恥ずかしそうな顔をするどころか、ふてぶてしい顔をしていた。まったくもって路上生活者の爪垢でも煎じてのんでもらいたいモノだ。 「小さい頃から、母親に盗みはしちゃいけない、と教えられてたから・・・・」と路上生活者はいったらしいが、このおばさんはどんな教育を受けてそだったのだろう?
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