10・7 国力とからかい (2012/10/08)
「ジャッパ! ジャッパ!(日本人=ジャポネスの俗称)」フェイラ(朝市)で買い物をしていると、売り子の少年が声をかけてきた。 そちらの方を向くと「ジャ、パッソウ(もう通り過ぎた)」と言ってニタニタ笑っている。何をいっているのか、よく解らなかった。横にいた息子がプンプンしている。「もし、僕に言われてたら、殴ってやるよ」何故息子がそんなに怒っているのか解らず、自分より小さい人間を殴ったりするもんじゃない、と注意したが、息子はプンプンしたままだ。あの少年の様子から見て、からかったのは解ったが、何をからかったのか??? 「学校でも、からかってきた奴がいて、あんまりしつこいから殴ったら、それ以来何もいわなくなったよ。あんな奴は殴らないとわからないんだ」これはまずい考え方だ。「たかがからかわれたくらいで、人をなぐるなんてそんなことをしちゃダメだよ」といいながらも、自分自身ことが思い浮かんだ。 犬の散歩をしていると、よく出会う男がいた。まったく知らない奴にもかかわらず、すれ違うときにニヤニヤ笑いながら「シネース(中国人)」とバカにしたように言ってきた。最初は無視していたのだが、次の日もその次の日もバカにしたように言う。あまりにしつこいので「中国人じゃない。日本人だ!」と言ってやったが、次の日も同じように言うので「うるさい、ボリビア人!」と言ってやると黙ってしまった。ブラジル人は、国境を越えて出稼ぎに来るボリビア人を自分たちより下の人間にみており、ボリビア人と言われるのを嫌っているのだ。それこそ腕力に自信があれば、殴ってやろうと思ったものだ。 最近でこそ、中国は経済が急激に発展し他国の人間も認めるようになったが、25年ほど前にペルーを旅したときには、ペルーでは中国人が奴隷として連れてこられた歴史があるせいか、「シーナ(中国人)、シーナ」と言ってさんざんからかわれた覚えがある。歴史やその時代の国力によって、その国の人間に対する態度はがらりと変わってしまう。 20年ほど前には、ナイトクラブで、女性を誘うときに中国人も韓国人も、自分は日本人だと言って嘘をつくことが多かったらしい。ちょうどこの頃は日本はバブル終焉期でまだまだ日本人はお金をもっており、東洋人では一番モテたからだ。まさか、「韓国人だ」「中国人だ」と言って嘘をつくような日本人はいないとは思うが、今は立場が逆転してしまっている。寂しい限りだ。 アパートに帰る途中やっとわかって、あまりのくだらなさに1人で笑ってしまった。意味ばかりを考えていて気がつかなかったのだ。「ジャッパ」→「ジャ・パ(ッソウ)」。 「おまえ、こんなことで怒ったの?」と笑いながら息子に言うと、彼も恥ずかしそうな顔をして笑った。でも、たしかにどんなアホ臭いことでもあまりにしつこく言われると頭に来るが・・・・・。
 | フェイラでオレンジを買う息子。こんなに大きくなっても買い物を手伝ってくれるのはうれしい。 |
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