1・12 大道芸人 (2013/01/13)
サッカーおじさんに、ギター弾き、体中に銀粉や白粉を塗りたくった生きた銅像、マイケルジャクソンの真似をして踊る男・・・。この頃、セントロを歩くと大道芸人に必ず1度は出会う。人気のある芸人の周りには2重3重にして人が取り巻いている。こうした大道芸人の人々をミュージシャンを中心に数年撮り続けてきた。 ギター弾きのジョンには、会う度に写真を撮らせてもらい、いくばくかのお金を募金箱に入れているうちにすっかり友達になってしまった。しばらく会わないと「最近こなかったね。旅行にでも行っていたの」と心配してくれるほどの関係になった。 ルア(通り)のミュージシャンや大道芸人の写真を撮っている僕にとって彼のような友達ができることは、うれしいことだし、彼にとっても、外国人の友達が写真を撮ることはうれしいことのようだ。彼の友人のミュージシャンと出くわしたときなど、ちょっと自慢げに「俺の友達でいつも写真を撮ってくれているんだ」と紹介してくれたことが数度ある。 一度どれだけ稼ぎがあるのか聞いてみたことがある。「多い時で1日100レアルほどかな。もちろん全くダメなこともあるけどね」と言ってジョンはニヤリと笑った。 乞食は1日やると辞められない、というが、こうした大道芸人も、一度はじめると、意外に簡単に稼げるので辞められないのかもしれない。日本の知り合いのミュージシャンも「夜、繁華街の通りで弾くと結構簡単にお金が手に入るんだ。でも、それがクセになって、それで終わるのが嫌だから、できるだけちゃんとしたところで演奏するようにしているよ」と言っていた。 日本とブラジルは状況が大きく異なるだろうが、これだけたくさんの大道芸人がいるということは、お金を手にするのはそれほど難しくないということだろう。 最近はこの大道芸人にも少しずつ取り締まりが入り、通行の邪魔になるような所では禁止されているようだ。以前はいろんなことに対して大らかで暮らし易かったブラジルも、次第にああだこうだと煩い国になってきた。ワールド・カップやオリンピックが近づくにつれ、ますますいろんなことに対する締め付けが行われるだろう。そう思うと、ちょっと憂鬱である。
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