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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
1・17 写真を撮るとき [画像を表示]

1・17 写真を撮るとき (2013/01/18) 写真を撮っていると、「小銭ない?」と後ろから、声をかけられた。振り向くと、髪を後ろでしばった、薄汚れた黒っぽい服をきた年齢不詳のモレーナのおばさんが立っていた。
「盗んだりしないから。大丈夫よ」心配したつもりはなかったが、いつもの癖でカメラをカバンに入れようとしたのを彼女は見て僕が心配していると思ったのであろう。もし、声をかけてきたのが、ストリートチルドレンや若い路上生活者だったら当然心配しただろうが、彼女に対しては心配したつもりはなかった。写真を撮っているときに、言われても、僕にはとてもお金をあげようなんて考える余裕はない。すぐ、「ノン」という言葉が口をついた。「オブリガード」と彼女は言い残して去って行った。少しがっかりしたような後ろ姿を見ていると、もう少し、愛想よくすればよかったかな、と反省したがもう遅い。それにしても、最近、お金を恵んでくれと言ってくる人間が増えた。
 外で写真を撮っているとき、特にファインダーをのぞいているときは、構図取りや露出などに神経を使っている一方で、襲ってくる奴はいないか、危なそうな奴はいないか、周囲にも神経を配っているのでピリピリしている。こんな時に声をかけられても、おそらく僕の顔はひきつった怖い顔をしているだろうし、俺に構うな、という雰囲気を発散しているはずである。しかし、そんなことには全く無頓着で感じない人間が多いようでよく声を掛けられる。彼らから見れば、一見高そうなカメラ持っているから、お金を持っているだろう、あるいは旅行者、と勘違いするのだろう。
 僕にとっては、このときが一番隙ができるときであるから緊張一瞬でもあるのだ。できれば、彼らに協力したいという気持ちは持っているのだが、写真を撮っているときには、その気も起こらない。

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