8・25 心臓とマクンバ (2013/08/26)
120キロのマグロの心臓を行きつけの魚屋のおじちゃんからもらった。120キロにもなると、握りこぶし大の大きさでかなりでかい。普通は、食べる人がいないので捨てるらしい。 「ゲテモノ食いだね~」 そういいながら、3個の大きな心臓を包んでくれた。 もう一軒の魚屋で、このことを話すと、 「心臓は普通、売らないよね。年に2,3回、マクンバに使うために買いに来る奴がいるよ。でも、売った店まで、恨みを買うから売らないんだ。大人には牛や豚の心臓、子供には魚の小さな心臓を使うんだ。新鮮で切れ目が入っていないものじゃないとダメらしいよ」 マクンバとは、アフリカ伝来の黒人宗教という説もあるが、僕の調べた感じでは呪いの儀式のことのようだ。ちょうど日本の、丑三つ時藁人形の、呪いの儀式のようなものらしい。ブラジルは奴隷制のあった国であるから、「呪い」の儀式マクンバは妙に真実味がある。マクンバの話をブラジル人に聞くと、「本当にある話だから気をつけなよ」と真顔で忠告されたこともある。実際、マクンバをかけられたという話も何回か聞いた。僕自身も飼っていたカメや魚、サボテンが次々と死んで、マクンバにかけられたと思ったことが1度あった。長年飼っていたカメが突然死んだりしたので、もしや、と思ったが、今考えると、たまたま飼育していた動植物が重なっただけだと思う。 10年ほど前、人通りの多い交差点で、4つの牛の足と心臓が入った大きな深皿を見たことがある。マクンバの儀式と知っていたので、恐々写真を撮った覚えがある。また郊外の町、イタケケーラにいくたびに鶏の死骸が入った深皿をみかけたものである。最近聞いた話によると、こうした儀式に使った死骸入りの深皿などを見かけたら、蹴ってばらばらにしなければいけないらしい。そうしないと見た人間にも呪いがかかるそうだ。 マクンバの真偽はよくわからないが、人の呪いや恨みの念は決してバカにできないものだと思う。近寄らないのが一番である
 | マグロの心臓。カツオの心臓とまったく同じ味。しょうゆとショウガで煮るとおいしい。 |
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