10・10 危ない、危ない (2013/10/10)
「今、何時?」 まだ陽の残る夕のサン・ジョン大通りを歩いていると、派手な金属の首輪をつけた20歳ほどの青年から聞かれた。 わずかではあるが呂律がおかしい感じがする。「時計をもってないよ」と答えると、「は~っ?」とひどく間の抜けた声の返答があった。一瞬、随分前に同じように時間を聞かれたことを思い出した。それはとっぷりと日の暮れたリベルダーデの裏道でのことであった。同じように男に時間を聞かれた。時間を聞きながらも、妙に態度が気にかかったので間合いを取り、気を付けていると、男の懐に隠したものが街灯で鈍く光った。すぐ拳銃だと解ったので、慌てて逃げた。後ろから「俺は警官だ」と声を投げかけてきたが、どうして警官が拳銃をフォルダーにも入れずに持っている必要があるのだ! このとき、とっさの機転で難を逃れたことが蘇ってきた。 しかし、この青年の声はあまりにも間延びしていて、とても強盗のようには思えない。しかし、あまりにもあの時と似すぎている。油断は禁物である。人通りの多いところで、わざと歩くスピードを落として彼を前に行かした。ところが彼も何故か、スピードを落とした。今度は立ち止まって、彼との距離をさらに取ろうとしたら、彼は戻って来ようとする。慌てて、大通りを横切ると、さすがに今度はあきらめたようで、追って来なかった。危ない、危ない。最近は数人で囲んで襲ってくることが多いようなので、さらに後ろを振り返り、おかしな奴がいないか気を配る。 イピランガ大通りとサン・ジョン大通りの交差点から半径500m一帯は依然から強盗やスリが多いことをで有名であったが、やっぱり危ない。改めて認識し直した。しばらく、この辺に近寄らない方がよさそうである。 ブラジル人に、時間や道を聞かれても、決して近寄らないようにした方がよさそうだし、逆にこちらが聞く場合も、2,3m離れて聞いた方が無難なようだ。
 | レプブリカ広場付近。最近、町が殺伐した感じがする。 |
|
|