10・16 最近のデモ (2013/10/16)
人々の掛け声とともに太鼓や笛の音が、締め切った窓から流れ込んできた。 窓の外を見ると、デモ行進が市議会に向かっていた。大急ぎでカメラをバッグに詰め込み、標準レンズ、広角レンズとともに、今日は古い300ミリレンズも入れる。バタバタとアパートを飛び出した。 このデモ隊の掲げているのは「住居を! 安定した生活を!」という内容のせいか女性や中年が随分と多い。服装や顔つきから見ても、余裕のある生活をしているというよりはギリギリの生活をしているような人たちだ。 このデモ隊はしっかりと統制がとれていて何度かシュプレヒコールを上げた後、荒れることもなく別の場所に移っていった。しかし、ピニェロスで行われた教員たちのデモは荒れに荒れた。6軒の銀行が打ち壊され、駐車していた車数台が破壊され、車販売店のガラスなどが割られた。これらの破壊を行ったのは、ほとんどが、ブラック・ボックスと呼ばれる顔を隠した黒服の男達である。彼らはデモになると何処からともなく現れて破壊行為を行う。そのデモにはまったく関係のないやつらである。デモを封じ込めるために政府が動かしているという説もある。嫌デモ意識を世論に広めるために、彼らはわざと暴力的な派手な破壊行為を行っているという説である。彼らが暴れることにより、警察はより暴力的にデモ隊を抑え込むことができるようになった。 デモが行われ始めた頃、警察が力ずくで抑え込もうとし、デモ隊に多くの怪我人がでて、マスコミが徹底的に叩いた。これにより世論はデモ隊側につき、警官が悪者になった。来年、選挙を控え、市長や州知事はできるだけ、市民の不人気を買いたくない。これをきっかけにサンパウロではゴム弾の使用が禁止され、警察は過度の暴力を控ええるようになった。 しかし、今はブラック・ボックスの目に余る破壊活動により、世論やマスコミがデモ側を非難するようになってきた。ゴム弾禁止は解除され、公安活動が強化され、今や政府の思い通りになりつつある。政府がブラック・ボックスを動かしているという確かな真偽は解らないが、彼らは捕まっても翌日にはすぐ解放されるし、おかしな点が見られることは確かである。 数万人の人々がパウリスタ大通りに集まり、皆、ブラジルを変えようという熱い思いを持って行進を行った。僕でさえ、あの場にいて熱いものに胸を付かれたものである。このうねりにより、大統領が汚職贈賄は徹底的に追及し罰すると、発表した。しかし、結局、その発言も今や昔で、W杯のスタジアムも汚職、汚職で未だにできていない所がほとんどである。やはりブラジルは変わることはできないのだろうか?
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