10・17 老後のすみか (2013/10/17)
アズミがベッドの枕元にきてクウクウ鳴いてうるさい。 時計を見ると、5時。ここ数日、朝、雨が続き散歩に行っていないので散歩に出たくて堪らないのだ。 窓から外を見ると曇っているものの、雨は降っていない。最近すっかり夜明けが早くなって、5時20分を過ぎれば、結構明るい。歩いている人もそこそこいて、犬を散歩する人が少なく、泥棒・酔っ払いが少ない時間は,僕の散歩コースでは5時45分から7時20分にかけてあたりである。たかだか犬の散歩に行くのも気を使わなければならない。まったくアホらしい話である。 しかし、リードを付けずに、得意げに犬と散歩するオジンオバンと出会って朝から腹を立てたり、危ない目にあってストレスをためるのはもっとアホらしいからできるだけこの時間に出かけるようにしている。今の散歩コースと時間に決まるまでに、4,5のコースを変え、やっと今のコースに落ち着いた。それまでは、リードをつけてないピットブルにアズミが危うく襲われそうになったこともあるし、麻薬を吸引しているような目の据わった男に絡まれたこともある。さらに、2人のストリートチルドレンに襲われたことも、5匹の野犬に囲まれ攻撃を受けたこともある。 一時期、身を守るためにカメラの一脚を提げて歩いていた。大げさに思えるかもしれないが、この一脚を振り上げて、難を逃れたことは1度や2度ではない。たかだか、朝の散歩と雖も決してバカにはできないのである。今考えると、こんな危ない目に遭いながらも続けてきた自分のしぶとさにも、我ながら呆れてしまう。 いつも散歩で出会う知人のおばあちゃんとこの頃、遭うことがなくなり、どうしたのかな、と思っていた。偶然昼間リベルダーデで出会い、声をかけた。 「散歩中にグロリア通りで2人のモレーノ(混血男)に襲われてね。すっ転ばされたの。持っていた手提げかばんを持っていかれただけだったけど、怖くて怖くてね。だから、朝の散歩はやめたの」 おばあちゃんと遭うのはいつも6時10分ぐらいだったから、6時13分ほどに襲われたことになる。こんな朝早くに泥棒がいるなんて! それも老人を襲うなんて! 最低! 散歩のコースと時間の重要性をつくづく実感した。朝の散歩をするおばあちゃんまで襲われるサンパウロは、快適な住みやすい町とは、とても言えない。老後は、サンパウロを離れて田舎でのんびりと暮らすのがよさそうである。しかし、田舎は田舎で危なくなっているらしいし、のんびりとストレスなしに老後を過ごすにはブラジルは向いていないのかもしれない。
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