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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
10・26 とばっちり

10・26 とばっちり (2013/10/26)  第37回サンパウロ映画祭に参加している日本映画「盾と藁」をベルゲイロのセントロクルツラル見に行った。料金はなんと1レアル(約45円)。数年前の映画祭は思った以上に料金が高くびっくりしたが、今年は逆に安いので驚いた。
 映画はカーアクションといい、出演者といい、かなりお金をかけていることが解ったし結構面白かった。日本映画というと、カーアクションは貧弱なイメージをずっともっていただけにその迫力のあるシーンにびっくりした。最近は日本映画もここまでやれるようになったのだ。日本人なら絶対笑わないシリアスなシーンで笑うブラジル人に違和感を覚えながら見続けた。笑っていたのは一部だったし、僕自身訳をみていなかったので、なんともいえないが感覚の違いに驚いた。 
 映画を見終えてメトロで帰宅していると、リベルダーデ駅に停車しているときに、水中メガネに顔を黒い覆面で覆った大柄な男が階段を今にも転がりそうな勢いで降りてきた。そのすぐ後を、警棒をふりあげて一人のメトロ警察が追ってきた。男は大学帰りの若者たちで少し混んだ列車に飛び込んだ。一瞬、警官も追いかけて中に入って来るかと思われたが、列車の中までは追いかけてこず、一瞬悔しそうな顔をして階段を上がっていった。もし数人の警官がいたら、おそらく数にものを言わせ列車の中にまでおいかけてきただろう。覆面の男が乗ってきただけでも数人の女性やカップルがとばっちりを避けようと降りたほどであるから、もし警官が列車の中にまでおいかけてきたら列車から逃げる人々で大混乱になって怪我人がでたかもしれない。そう考えると警官の行動はただしかったのだ。
 男は185センチほどのがっちりした体格で黒っぽい服装を着ている。おそらく、最近デモに参加しては破壊や暴力行為を行っているブラックボックスの一員だろう。警官が階段をあがるのを見届けると、ふ~っとほっとしたような大きなため息をつき、水中メガネをはずし覆面を脱いでナップサックの中に入れ始めた。まだ20代前半の青年である。柔らかな線をした顔は荒んでいないので恐らく中流クラスの家庭の息子だろう。すぐ横にいた男が二言三言何か話して握手をした。おそらくこの男は、警官に歯向かうブラックボックス肯定派なのだろう。ガンバレヨとでもいったのだろうか。青年は次のセ駅に着くと人混みに紛れて消えてしまった。青年の安堵の大きなため息がずっと耳に残っていた。
 強盗に襲われるだけでなく事件に巻き込まれることもあり得るということを実感した


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